VW T-Crossは走行性能もちょうど良いのか? 公道試乗で実力を試す!


■中低速以上にマッチした足回り

軽自動車より少し大きい程度の排気量とは思えない加速感だ。さすがVWといったところか

 軽自動車の排気量に毛の生えた程度である、1.0リットル(正確には999cc)という排気量で、どうしてこれほど力強い加速や巡行走行ができるのだろうかと、本当に驚かされる。

 DSGの低速発進時の動作を気にする方も多いが、少なくともこのT-Crossに関しては、違和感などは全くなく、ごく自然な動作だ。回転数をさほど上げずに、「クン!! クン!! 」とシフトアップをしていくので、イメージ通りの加速に乗せやすい。

 一般道やワインディングでの身のこなしは、ボディサイズに対してオーバースペックにも思える18インチタイヤ(ピレリCinturate P7)と、1270kgという、やや軽めの車重の恩恵もあり、グイグイと旋回をするイメージだ。

 路面に張り付いたような動き、とまではいかないが、試乗当日は激しめの降雨になる時間もあったものの、一般道を流す程度では、タイヤのグリップ不足を感じたり、滑るそぶりを感じることは全くなかった。

 乗り心地は、ボディの上下動をしっかりと抑制し、フラットに保つようなセッティングだ。そのため、中低速で走るワインディングや高速巡行は得意だ。欧州の郊外路を快走するイメージが似合う。

 半面、段差乗り越し時の突き上げは大きめだ。「ドタン!」といったインパクトノイズと鋭いショックは、後席の方がよりきつい。原因は45扁平のタイヤにあるのは間違いない。

ファッション性の高い18インチホイールを採用。その分段差乗り越しのショックは大きめだ

 デザインを楽しむコンセプトのために18インチを採用したのだろうが、T-Crossには17インチが限界だと思われる。17インチで、カッコよいホイールデザインを望みたいところだ。

 T-Crossは、高速走行が「大の得意」だ。車自体が持つ直進性が非常に高く、ステアリングも支える力もわずかで済むので、「この上ないほどに極上」の高速クルージングができる。ロードノイズも比較的小さく、安っぽい音や嫌味な音は一切ない。

 1.0リッターの排気量と、全長4.1メートル程度のコンパクトSUVだということを忘れるほどに、安心感の高い巡行走行ができる。

■日本車メーカーも油断してはいけない一台

値段的に少し頑張れば、素性が良く他人と違うSUVが手に入る。日本メーカーも油断してはいられない

 T-Crossの魅力は、かっちりとしたつくりの良さと、つくりの良さがもたらした「走り」の素性の良さだ。

 これまでクルマのオシャレ度では、ルノーやミニ、プジョーに対して及んでいなかったように思えるVWだが、エクステリアとインテリアカラーの遊び心も加わり、300万円ちょっとで手に入るのならば、このT-Crossを考えてみよう、という、日本のユーザーも多いに違いない。

 キックスやヤリスクロスといった国産コンパクトSUVは、ハイブリッドシステムによる燃費向上面で、欧州勢に対して有利ではあるが、これだけリーズナブルな価格で、おしゃれで質実剛健なドイツ車が手に入る、となれば、決して油断はしていられない。

 「コンパクトSUVがいいけど、他人とはちょっと違うクルマがいい」という需要にもちょうどいい。

 このT-Crossが、今後国内でどれくらい暴れてくれるか、非常に楽しみだ。

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