セド・グロの新しい“顔”となったグランツーリスモ 日産 セドリック(Y31)【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

■2Lツインカムターボは想像以上にスポーティ

 エンジンラインアップはもちろんV6中心だ。なかでも注目は2L、V6、DOHC、4ヴァルブ、ターボというスポーツユニットだ。

 私はこのエンジンを与えられた“グランツーリスモ”に初めて乗った時、セドリックにはミスマッチなくらいスポーティだと思った。

 185馬力/6800回転、22.0kgm/4800回転というパワーアウトプットを持つこのユニットは日産お得意のセラミックターボで、レスポンスよく、しかも低中速のトルクもある、すばらしいユニットだ。この2L、V6DOHCエンジンは現在、2Lクラスでは最もスポーティなエンジンだと思う。

新開発のV6、2LツインカムターボVG20DETは185psを発生。VG30ETが195psだったからそのパワフルさがわかるはず
新開発のV6、2LツインカムターボVG20DETは185psを発生。VG30ETが195psだったからそのパワフルさがわかるはず

 グランツーリスモは従来2Lバージョンがなんとなく3Lの廉価版という位置にあったものをハッキリとさせ、2Lの存在理由を高めている。

 ドライバーズカーとなったグランツーリスモのリアサスは5リンクリジッドから独立式になったが、ごく一般的なトレーリングアームである。しかし、BMWの例を見るにつけ、今やこの古典的ともいえるレイアウトもそのリファインぶりいかんでは、まだまだいけるのだ。

 グランツーリスモもしかりで、充分なホイールストロークと適切なダンパー、ブッシュの組み合わせで信じられないくらいファンなハンドリングに仕立てられているのだ。65シリーズのタイヤ選択もよかったのだろうが、そのハンドリングは実に素直で、長いホイールベースにもかかわらず、取り回しは楽だ。

リアサスペンションが5リンクリジッドからセミトレーリングになってハンドリングは2ランクくらいレベルアップしたとされた
リアサスペンションが5リンクリジッドからセミトレーリングになってハンドリングは2ランクくらいレベルアップしたとされた

 185馬力のパワーをうまく使えば、テールスライド、あるいはフォーホイールドリフトも意のままであろう。

 少なくとも“GT”に関するかぎり、ローレルやスカイライン、ことによるとZカーも含めて日産の後輪駆動車の中で、最もファンなハンドリングを持つといったらあなたは、信じるだろうか?

 こういうクルマ作りに私は大賛成する。この種のクルマももはや70%近くが自分でハンドルを握る人に買われているのだ。この人たちにとっては妙にふわつく乗り心地と大仰にロールするハンドリングよりも、シャキッと走ってくれたほうがいいに決まっている。

 ようやく日産のクルマが面白くなりそうな気配を感じる。そしてそれは、大歓迎である。

◎セドリック4HTグランツーリスモSV主要諸元

  • 全長:4690mm
  • 全幅:1695mm
  • 全高:1400mm
  • ホイールベース:2735mm
  • エンジン:V6DOHCターボ
  • 排気量:1998cc
  • 最高出力:185ps/6800rpm
  • 最大トルク:22.0kgm/4800rpm
  • トランスミッション:4AT
  • 10モード燃費:9.0km/L
  • 車重:1480kg
  • 当時の価格:348万5000円
  • 登場年:1987年
  • 0~400m:17.45秒
  • 0~1000m:31.99秒
  • 最高速度:176.9km/h
  • ※テスト車:4HTツインカムターボグランツーリスモSV

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