■スペシャルティカーへのホンダの意気込み
プレリュードはいうまでもなくスペシャルティカーである。そして、そのベースとなったのはアコードであるはずなのだが、実はフロアパネルはアコードと共通ではない。2320mmというホイールベースの新しいフロアパネルを新設計したのである。このあたりが、いかにもホンダらしいやり方であり、トヨタ、日産の可能なかぎり(例えそれが少々妥当性を欠いたとしても)部品を共通とするのと趣を異にしている。
グレードは4つ。XTが一番安く、XEが一番高いが、その差は単にアクセサリーの大小でないことが面白い。プレリュードの大きな売りである電動サンルーフは一番安いXTで標準なのに、その上のEは車速応動タイプパワーステアリングが装備されるが、電動サンルーフはないといったあんばいだ。
またXRは175/70SR13というファットなタイヤをはき、スタビライザーを備えたスポーティなバージョンであるという具合に、それぞれスペシャルティカーを買う以上、上下はなく、あるのは使用途別によるものという主張は賛成だ。
■ややパンチに欠ける1.8Lエンジン
プレリュードの走りは、そのパワーユニットが、基本的にアコードと共通のものであり、ウエイトもアコードの4ドアの935kgに対して915(XE)とわずかな差でしかなく、そう変わるものでもない。
谷田部テストコースにおける加速データは0〜400m加速18.90秒、0〜100km/h加速12.56秒というところ。これは1.8Lのスポーティカーとしては普通といえる。
加速テスト中やロードインプレッション中に感じたことは2000rpmあたりまでの中速のトルクが増し、よりスムーズに回ったことである。これはトップギア1000rpmで32km/hという高いギアリングを持つクルマとしては大事なことだ。
反対に相変わらずというべきか、高速の伸び、パンチは今ひとつで各ギアともレッドゾーン(5800rpm)の始まる前で回転の上昇が鈍る。
これが主たる原因でトップスピードはメーカー公表値(推定)の170km/hを大きく下回る152.22km/hにとどまった。タコメーターは4900rpmを指し、スピードメーターは170km/hを指していた。
CVCCエンジンにモアパワーの要求を出したが、ハンドリングに関しては文句なく合格である。ホンダはこのプレリュードを作るにあたって、サスペンションを新しくやり直した。形式はアコードやシビックと同じ4輪ストラットタイプだが、前後にコンプライアンスを充分に与え、ジオメトリーも変えている。
この新しいストラット式サスペンションとラック&ピニオンのスティアリングのコンビネーションはきわめてスポーティだ。パワーステアリング付きのXEとパワステがなくファットタイヤのXRの両方に乗ったが、このクルマに関するかぎりノンパワステのXRを採る。
シャープで応答性のいいスティアリングと思った通りのラインをクリアさせることができるサスペンション、特に感心したのはリアホイールのすばらしい追従性であった。プレリュードはこのハンドリングのおかげで紛れもなくスポーティカーの仲間入りをした。
ハンドリングは乗り心地と両立して初めて高い評価を得られるが、この点でもプレリュードは合格点だ。しっかりとしたサスペンションはスピードを上げるにつれてフラットになり、この分野ではいつもお手本になるヨーロッパ車並みの水準を持つ。
これはやはり4輪ストラットというメカニズムのポテンシャルをフルに生かしているからだろう。少々硬めのしっかりしたシートもこの乗り心地に大いに貢献しているのはいうまでもない。
今回約350kmをプレリュードに乗ったが、すばらしいハンドリングにすっかり惚れ込んでしまったのだ。唯一サンルーフ車の天井の低さは、うっとうしい。もちろん開いた時の開放感はすばらしく、12月だというのに終始一貫スライディングルーフを開けたまま走ったのだった。
◎プレリュードXE 主要諸元
全長:4090mm
全幅:1635mm
全高:1290mm
ホイールベース:2320mm
エンジン:直4 SOHC
排気量:1750cc
最高出力:90ps/5300rpm
最大トルク:13.5kgm/3000rpm
トランスミッション:5MT
60km/h定地燃費:21.0km/L
車重:915kg
価格:140万円
※グロス表記
本誌テストデータ
0〜400m加速:18.90秒
0〜100km/h加速:12.56秒
最高速度:152.22km/h
コメント
コメントの使い方