三菱自動車が2024年2月にエクスパンダーとエクスパンダークロスにハイブリッドモデルを追加設定したが、タイ現地で国沢光宏氏がこのほど試乗した。ASEANや中南米、中東で販売され販売好調なモデルの真髄をレポートする!
文/国沢光宏、写真/三菱自動車
■初代アウトランダーPHEVのフロント部システムを流用
今や世界規模でのハイブリッド人気だ。ハイブリッドなしでクルマを売ることは難しくなったと思う。だったらウチも、ということなのだろう。三菱自動車が新興国で抜群の人気を持つエクスパンダーにハイブリッドをラインナップしてきた。
参考までに書いておくと、タイでは純エンジン車だと税金20%。ハイブリッド車なら6%と大きな差が付く。税金を考えるとハイブリッドが有利です。
ハイブリッドのシステムは初代アウトランダーPHEVのフロント部分を使ったと理解すればいいと思う。
改めて初代アウトランダーPHEVのシステムを紹介しておく。まず駆動についてだけれど、電気自動車モードがあることからわかるとおり、モーター。ただハイブリッドの場合、電池搭載量が少ないため、エンジンで発電機を回す、いわゆるシリーズハイブリッドですね。ここまでは日産のe-POWERと同じ。
三菱のシステムは、巡航時にエンジンと駆動軸を直接繋ぐモードがある。ここまで読んで詳しい人なら「ホンダの2モーター式と同じですね」と思うだろう。そのとおりです。
巡航時のみ燃費を稼ぐべく直結モード。それ以外はエンジンで作った電力でモーターを稼働させている。また、アウトランダーより車重が軽いため、エンジンを2400ccから1500ccにダウンサイジングしています。
■ブレーキ制御も違和感なし!
バンコクモーターショーでワールドプレミアした直後のタイミングでエクスパンダーHEV(ハイブリッド)に試乗できたので、日本での発売を期待しつつレポートしてみたい。まずエクスパンダーの概要など。
このクルマは新興国向けに開発されたもので、生産国も販売国も当初インドネシアだけ。その後、タイとマレーシア、ベトナムで販売されている。ヒンジドアながら3列目のシートを持つ7人乗り。
では試乗だ。ドライビングシートに座って起動ボタンを押すと、システムが立ち上がる。Dレンジをセレクトして走り出すと、ストロングハイブリッドのセオリーどおりタイヤが2~3転がりしてから走り出す。
住宅地などで使う『EVモード』も設定されており、3kmくらい走るそうな。ハイブリッド専用に改良された『4A92』エンジンは、95ps(純エンジン車用の4A91は105ps)となる。 静粛性を追求したということから、いい意味で競合するハイブリッド車と同等の「エンジンの存在感」が実現できている。
アクセルを床まで踏むと、1.1kWhの容量を持つ走行用電池からの出力が加わり、システム最高出力116psを発生する。全開走行を試したけれど、1500ccエンジンと同じか、それ以上の加速をしてくれる。必要なだけのパフォーマンスを持っていると言っていいだろう。
新開発のハイブリッド車にありがちなドライバビリティの悪さも感じない。さらにハイブリッド車で大きな技術的なテーマとなるブレーキ制御だって違和感なく仕上がっている。
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