「NSXよりはるかにいい」ホンダ ビート試乗 【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】


■ビートが提示する価値

ホンダはこのビートを日本のコミューターにしようと思ったらしい。こいつは私も賛成だ。このビートはスポーツカーの成り立ちだが、こいつをシティコミューターにしてしまうのがオシャレだと考えているのだろう。

小さくてすばしっこいコミューター、それは30年前に現われたMINIだ。しかし、コミューターとしては「モノ」がおけなくて不便じゃないかい? との疑問はわく。荷物がのったほうがそら便利だ。人間だって4人乗れるほうが便利だし、ことによると5人より7人、7人より9人乗りのほうが便利だ。

そうやってクルマというモノは大きくなってきたんじゃないのかナ。

ビートはその拡大に次ぐ拡大を果たしたクルマというものへのひとつの提案なのだ。そこがビートの真の価値である。

小さいメリットは数多くある。そのメリットにビートは“プライド&ジョイ”を与えたのだ。そのためのミドシップであり、スパイダーボディであり、リッターあたり100馬力近い自然吸気エンジンを与えたのである。

ビートに乗るとオートマチックトランスミッションのイージーさがよくわかるだろう。その代わりというべきか、クルマを動かす楽しさが今さらのごとく思い出されよう。

こお
当時はF1ブームの真っ只中。ビートのエンジンはそのF1でしのぎを削ったホンダの技術の粋が詰め込まれていた

■欧州車にも胸を張れる完成度だ

スポーツカーとしてもビートはなかなかのものだ。バランスのよいミドシップによる小気味のいいハンドリング、そしてリーズナブルな乗り心地。

ビートは最近の国産スポーティカーのなかで、不思議とコーナリングを突き詰めないクルマとなった。タイヤもヘンにグリップ重視だけじゃない。あくまでバランスを重視している。

だから、ビートはクルマとして極めて完成度高いのだ。もし、文句をつけるのだとしたらブレーキ。こいつはストロークの短いサスペンションのためもあって、ロックが速いことだろう。

ビートのドライブはセンシティブにやってもらいたい。小さいとはいえミドシップなのだ。コーナーの手前でキチンと荷重を前へやり、それからスティア、これがミドシップの楽しさだ。

私は“こんなクルマが日本でできましたよ”といってヨーロッパに輸出すればいいと思っている。日本のクルマはたしかによくできている。しかし、ただ俺たちのクルマをマネて、安く、少しばっかりうまく作っているだけと思われているが、このビートはさすがの彼らとて、そうは思うまい。

試乗中のワンショット

◎ホンダ ビート ベースグレード 主要諸元
全長:3295mm
全幅:1395mm
全高:1175mm
ホイールベース:2280mm
車重:760kg
エンジン:直3SOHC
総排気量:656cc
最高出力:64ps/8100rpm
最大トルク:6.1kgm/7000rpm
トランスミッション:5MT
10モード燃費:17.2km/L
サスペンション:ストラット/ストラット
価格:138万8000円

◎ベストカーテストデータ
0〜400m加速:17秒99
0〜1000m加速:34秒79
筑波サーキットラップタイム:1分21秒30