ただの「ノート上級版」じゃない!!? 日産 ノートオーラの走りを試す

ただの「ノート上級版」じゃない!!? 日産 ノートオーラの走りを試す

 2021年6月15日、日産 ノートの「上級版」たるノートオーラが発表されてから1ヶ月あまり。従来プリウスや輸入コンパクトカーへ流れることが多かった層をターゲットとしているという。

 そのターゲット層を満足させられるだけの魅力と能力はあるか? 超激戦区たるコンパクトカーカテゴリーで「新風」と呼べるだけの実力はあるのか?? 自動車評論家 諸星陽一氏が試乗した。

●日産ノートオーラ価格
・G(FF)…261万300円
・Gレザーエディション(FF)…269万9400円
・G FOUR(4WD)…286万8800円
・G FOURレザーエディション(4WD)…295万7900円

 ※本稿は2021年6月のものです
文/諸星 陽一 写真/NISSAN、ベストカー編集部 撮影/奥隅 圭之
初出:『ベストカー』2021年7月26日号

【画像ギャラリー】ノートとノートオーラ どう違う? 比較表を含めそのプレミアムな姿をギャラリーでチェック!


■多くのパーツが専用設計。ただ「ノートの全幅を40mmワイドにしたモデル」ではない

 日産は、日本ではあまり馴染みのないプレミアムコンパクトモデルにチャレンジを始める。

 小さくても装備、機能、パフォーマンスに優れるプレミアムコンパクトは世界的、特に欧州を中心に拡大傾向にある。

アリア直系プレミアムコンパクト!!! 日産 ノートオーラの走りを試す
アリア
アリア直系プレミアムコンパクト!!! 日産 ノートオーラの走りを試す
ノートオーラ。フロントマスクはノート(下)と同じようだが、超薄型のLEDヘッドランプ、ワイド化されたグリルに加え、デイタイムランニングランプ(DRL)を兼ねたLEDシーケンシャルターンランプを装備(夜間にはVモーショングリルが光る)して、ノート以上にアリアのデザインテイストを盛り込んでいる
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ノート

 車名からもわかるとおり、ノートオーラはノートをベースとしたモデルだ。

 外板ではボンネット、ルーフ、リアハッチなどのパネルがノートと共通だが、前後ドアやフェンダーは新デザインのものを採用し、全幅は1735mmと3ナンバー化された。

 もちろん単純にボディをワイド化しただけでなく、タイヤサイズもノートの185/65R15から205/50R17とワイド&大径化。

 これに伴いトレッドも1490mmから1510mmに拡大されている。

 駆動システムはノートと同じシリーズハイブリッドのe-POWER。エンジンで発電し、モーターで駆動する。

 ノートオーラの車重はノートに比べてFFで40kg、4WDで30kg増加しているが、パワートレーンにも手が加えられ、重量増を補っている。

アリア直系プレミアムコンパクト!!! 日産 ノートオーラの走りを試す
ノートの全幅を40mmワイドにしただけではなく、多くのパーツが専用設計
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左がノートオーラ、右がノート

 変更されたのはフロントモーターで、ノートよりも15kW(20ps‌)/2.0kgmスペックアップされている。

 FFのパワーウエイトレシオは、ノートが10.5kg/psに対し、ノートオーラでは9.39kg/psと10%以上改善。

 なお、エンジンのスペックと4WDのリアモーターのスペックは変更されていない。

 では実際に走るとどうか? これが実に快感なのだ。

 もともとノートは発進から力強い加速を味わわせてくれるモデルだが、オーラはさらにその上を行く。

アリア直系プレミアムコンパクト!!! 日産 ノートオーラの走りを試す
ノートは気持ちのいい加速が魅力だが、フロントモーターが20psアップしたノートオーラはノート以上に気持ちのいい加速を見せる
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FFよりも4WDのほうがコーナリングのスタビリティが高く安心

 もちろん世の中にはとんでもなく速いハイブリッドやEVが存在しているが、コンパクトなボディを精一杯グイグイと加速していく様子が実に小気味よく頼もしい。

 高速道路への登り勾配流入路でも、しっかり力強く加速してエントリーできるだけのパワフルさを持っている。

 特にリアモーターでも駆動がかかる4WDは加速時の安定感が高く、より力強さを感じることができる。そして何よりもアクセルを戻し回生ブレーキがかかった時のクルマの動きがしっかりとしている。

アリア直系プレミアムコンパクト!!! 日産 ノートオーラの走りを試す
プレミアム性には走りに余裕が必要、ということでフロントモーターが20psアップ

 FFでの回生はフロントにのみブレーキをかけた状態になるわけだが、4WDは前後輪にブレーキがかかるので、ノーズダイブを減らせる。

 FFでも回生時に後輪にのみブレーキをかければ同様の効果は得られるが、摩擦ブレーキではエネルギーを捨てることになってしまう。

 後輪にも回生ブレーキが使えることで、エネルギーの回収を行いつつ、車両安定性を高めているというわけだ。なら4WDのほうが無駄がない……というわけにはいかない。

 WLTCモード燃費はFFが27.2km/L、4WDが22.7km/Lと燃費に4.5km/Lもの差があるので、効率的にはやはりFFが有利である。

 ハンドリングは素直な印象で、テストコースに用意されたパイロンスラロームを軽快にクリアする。

 タイヤがノートに比べて2サイズ太く、直径も50mm程度大きく(計算値)、トレッドが20mm拡大していることによりグリップのアップは明確で、ステアリングを切り込んだ瞬間からしっかりとノーズがインを向く。

 モーター車でハンドリングは楽しいの? という人には「楽しいよ」と答えられるハンドリングだ。

 さらに好感度が高いのが静粛性の高さだ。ノートではエンジンが始動した際に、いかにも3気筒なエンジン音が侵入したが、ノートオーラはかなり静かでエンジンの存在感が薄い。

アリア直系プレミアムコンパクト!!! 日産 ノートオーラの走りを試す
プレミアムコンパクトに恥じない素材にこだわったインテリア
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後席。プレミアム性をより追求するならレザーエディションがオススメ!

 ダッシュパネルのツイード表皮、凹凸まで表現したつや消しの木目調パネルなど室内の仕立ても高級感にあふれていて、2ランクくらい上のクルマという印象がある。

 ノートと比較すると42万3500円高となるが、プレミアムコンパクトであると考えれば納得のいくレベルだ。

●日産ノートオーラ(G)主要諸元
・全長×全幅×全高:4045×1735×1525mm
・ホイールベース:2580mm
・車重:1260kg
・最小回転半径:5.2m
・エンジン形式:直3DOHC
・総排気量:1198cc
・最高出力:82ps/6000rpm
・最大トルク:10.5ps/4800rpm
・モーター最高出力:136ps/3183-850rpm
・WLTCモード燃費:27.2km/L
・価格:261万300円


次ページは : 【番外コラム】価格と性能から考える ノートオーラのライバルは?

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