■パワーモードの加速を体感
いよいよ胸騒ぎを抑えながら試乗に向かう。ドアを開けたらすでに増岡さんが助手席にいた。
「まずはノーマルモードで行きましょう」
教習所の元気な教官のようだと思ったが、誘い込まれるようにアクセルを踏むとスーと気持ちのいい加速を見せる。踏み込んでもエンジンが始動せず、モーターだけで走っているのが不思議な感じだ。
「次はパワーモードにしましょう。テリーさん全開です!」
スピードを出せとそそのかす教官がいるか?? と思ったが、その加速に「わ~あああああああ!!」と思わず叫んでしまった。
コーナリングに進入すると「そのまま、そのまま! S-AWCが効いてクルマが曲がっていきます!」と教官はアクセルを緩めることを許さない。
おかげで加速はランクル300のツインターボよりも気持ちよく、よく曲がることがわかった。さらにワンペダル(イノベーティブペダル オペレーションモード)はアクセルひとつで、大きくて重いボディを面白いように加減速できる。これは雪道やきついワインディングで効果バツグンだろう。暴走族のクルマにもこれを強制装着すれば、彼らも暴走できなくていいのに!
■乗り心地と安定性は三菱車史上NO.1
ワタシの試乗時間が終わると増岡教官は当たり前のように運転席に座り、「テリーさん、どうぞ!」と助手席に招き入れる。
「悪魔のドライビングのいけにえか……」
ワタシは観念した。覚えているだけでワタシは3回ほど地獄に突き落とされた。パリダカ・パジェロオフロード試乗、パジェロ登坂キット試乗、デリカD:5 雪上ドライブ。ジャンプにドリフトに仰向けに、とやりたい放題。
そのたびにワタシは、シートベルトに張り付けられながら「パリ・ダカチャンピオンなのはわかりました。もう許してください」と目を閉じて許しを請うばかりだった。
しかし、今回も願いは通じなかった。コース幅をすべて使い、縁石に乗った攻めに攻めた走りを見せつける。
「テリーさん、どうです! 乗り心地がいいでしょう」
乗り心地を試すためにわざわざ縁石まで攻めてもらわなくていいのだが、うかつにも「フォ~フォ~」と歓声を上げてしまい、彼のやる気は120%になり、サーキットがアフリカの砂漠に変わってしまったようだ。
「テリーさん、最後に絶対に曲がれない速度でコーナーに入ってみます」。そういうと増岡さんは、コーナーの手前でわざと大きくステアリングを右に切った! 「危ない、穏やかに!」と懇願するもああ無常。「ギャギャギャ!」と大きなスキール音をたて、クルマは一気に大きく傾いた。しかし、次の瞬間クルマは姿勢を戻し、何事もなかったように再びまっすぐに走り始めた。
「テリーさん、ぜんぜん乱れないでしょう? これが新型アウトランダーの実力です」
何が乱れないだ! ワタシの心は乱れっぱなしだ。
「雪道では早めに制御が入るので、より安全で楽しい走りを体感できるんです」
増岡さんはアウトランダーPHEVのすごさをワタシの体に刻み込んでいった。
おそらく三菱自動車の方も動画をご覧になれば、いかに増岡さんが悪魔のドライビングのためにワタシをもてあそんだかがわかるはずだ。
とはいえ、増岡さんのおかげで、新型アウトランダーPHEVのポテンシャルの高さが実感できた。「乗り心地と安定性は三菱車史上ナンバーワン、特に安定性はランエボ以上だと思います」と胸を張っていたが、あながち言い過ぎではない。
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