乗り手のことを考えたチューンに開発陣の優しさを感じる
新型アルトに乗車すると、全高を高めた効果は絶大で、フロントシートだけでなく、リアシートのヘッドクリアランスに余裕が生まれている。そして特にリアのガラスエリアが拡大したことで、後方の視界が向上しているのは好印象。
車両重量は710kgに抑えられており、大人二人が乗っても900kgに満たないので、自然吸気エンジンでもスムーズな加速を見せる。ただアクセルペダルを踏み込むとエンジン音がかなり進入してくる。
しかし、アクセルペダルをやんわりと踏んでいくとモーターアシストも働き、エンジンのノイスはほとんど発生しない。これはメインターゲットである高齢者の操作に合わせたチューニングを施しているとのこと。信号待ちからの発進でもジワッとアクセルペダルを踏むとスッと法定速度までストレスなく加速してくれる。
舗装路を中心に石畳のような道路を走行したが、乗り心地は概ね良好。路面からの入力も抑えつつ、収束も早めなのでリアシートの乗員も快適に移動できる。
パワートレインに関しては高速道路の合流などでは、多少加速などにストレスを感じるシーンもあるかもしれないが、街乗り中心であれば全く問題ない。乗り心地も車両重量の軽さがネガにならないようにしっかりとした味付けがなされており、前後左右の揺れはかなり抑えられている。
試乗したハイブリッドXとLの2WD車同士の燃費差はWLTCモードで2.5km/L。それでいて、価格差は約26万円。LにオートエアコンやLEDヘッドランプなどがセットとなったアップグレードパッケージを装着すれば、十分満足できるクルマに仕上がると思うし、実際これが売れ筋となるはずだ。
軽自動車のベーシックモデルであるアルトが走行性能や安全性能の基準を高めたことは、大きな意義があるし、今後の軽自動車の商品力の大きな影響を及ぼすのは間違いない。
加えてアルトのような低価格で安全性の高いモデルが登場することで、人々のクルマに乗る時間が長くなるというのは大きな意義があると思う。
免許証返納を進めるだけでなく、こうしたクルマをサブスクリプションなどでより手軽に乗れるような補助金などの対策を講じてもらいたい。
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