世界限定500台、お値段1億円のマクラーレン・セナに驚愕試乗!

■新生マクラーレンの出発点、MP4-12C

 その後、マクラーレンはメルセデスベンツと共同でメルセデスベンツSLRマクラーレンを世に送り出すが、この関係を解消すると2010年に新たなロードカー〝MP4-12C〟を作り上げ、再び独立独歩の道を歩み始める。

 現在に続くマクラーレン・オートモーティブは、この時を出発点にしているといって間違いない。

 ただし、新生マクラーレンはマーレイが生み出したF1の精神を正しく受け継いでいる。それはカーボンモノコックを用いた超軽量設計、F1マシンの開発で養った高度なエアロダイナミクスの活用などに表われている。また、スーパースポーツカーにしては乗り心地と視界が優れている点もF1と共通するマクラーレンロードカーの美点だ。

●2010年 MP4-12Cクーペ/スパイダー
3.8L、V8ツインターボ(600ps/61.2kgm)
発売当時価格:3000万円(クーペ)

新生マクラーレンの第1作。V8ツインターボエンジン、4輪の油圧回路を連携させたダンパーシステムなど、後に続く各モデルの基礎を作り出した。抜群のコーナリングマシンであるのは当然のこと、街中での乗り心地が優れていることも大きな特徴。オープンのスパイダーでも走りに遜色のないことには誰もが唖然とした

■究極を意味するアルティメットシリーズの第一弾、P1

 2013年には〝究極〟を意味するアルティメット・シリーズの第一弾、P1を発売。12Cをベースにしていながらも、カーボンモノコック、エアロダイナミクス、サスペンションなどを徹底的に改良。

 さらに3.8LV8ターボエンジンにはハイブリッド・システムまで装備して916psを生み出すという、まさに〝究極〟の1台だった。

 続いてP1をサーキット専用モデルに仕立て直したP1 GTRをリリース。これはオーナーだけを対象にした特別なサーキット走行会でドライビングの腕を磨けるほか、マクラーレンの本拠地にある高度なドライビングシミュレーターを体験できるなど、ソフト面の充実ぶりでも注目を集めることとなった。

 さらに12Cの後継モデルである650Sを投入すると、これをベースにした高性能版の675LTを開発。12C、650S、675LTの3モデルはスーパーシリーズと名付けられ、マクラーレンロードカーの奔流と位置づけられることになった。

●2013年 P1
3.8L、V8ツインターボ+モーター
システム出力916ps/91.8kgm
発売当時価格9661万5000円

MP4-12Cの技術を徹底的に磨き上げるとともにハイブリッドで武装したP1は、最高出力916㎰で最高速度は350㎞/hに達する究極のモデル。179㎰を生む電気モーターのパワーをハンドル上のスイッチで解放すると、まるでSF映画の宇宙船がワープするような加速を披露。ドライバーを恐怖のどん底に突き落とす迫力の持ち主だった

●2013年 P1GTR
3.8L、V8ツインターボ+モーター、エンジン
800ps/モーター200ps
58台限定生産、価格約4億円

P1のサーキット専用モデルで最高出力は1000㎰、P1よりもさらに50㎏軽量。オーナーだけが参加できる走行会などが約1年間で10回開催された。58台の限定生産で新車価格は4億円とも……

●2014年 650Sクーペ/スパイダー
3.8L、V8ツインターボ(650ps/69.1kgm)
発売当時価格3400万円(スパイダー)

MP4-12Cの大幅改良版で、エンジンレスポンスが大幅に改善。路面への追従性も長足の進歩を遂げ、コーナーで限界まで攻める楽しさが広がった

 

●2015年 675LTクーペ/スパイダー
3.8L、V8ツインターボ(675ps/71.4kgm)
発売当時価格4353万円(クーペ)

LTはロングテールの頭文字で、F1やル・マンカーへのオマージュ。足回りはベースの650Sよりさらにスポーティで、サーキット走行を満喫できる

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