■肝心の走りの性能はどう差があるのか?
ここまで読んで「走りはどうよ!」となるでしょう。どちらも試乗してみた。アイオニック5の以前の試乗レポートはこちらのリンクから御覧ください(https://bestcarweb.jp/feature/test-drive/382968)。
アイオニック5は後輪駆動ベースということで気持ちよ~く曲がり、絶対的な加速性能は期待を裏切らない。ステアリングはWピニオン式なのでステアリングフィールがよく、吸音材を使ったミシュランタイヤの静粛性に満足した。これといったマイナス点を付けられず。
bZ4Xに乗って最初に感じるのは「電気自動車の基本的な制御が少し甘いですね」。具体的に書くと、アクセルオフからアクセル全開にした時の滑らかさや(敏感な人だと普通の加速時でも感じます)、コギングなど。コギングとはモーターの軸を手で回すとコキコキする。電気自動車であれば走り出し時の超微細な振動になる。このあたりの制御、日産が上手。アイオニック5も負けてない。
絶対的な性能はbZ4Xで充分だと思う。ただ、「電気自動車ってけっこう速い」と期待している人からすれば、80km/h以上で頭打ちになってしまう。
一方、0~100km/hを5.2秒で走るアイオニック5はGRヤリスと同等。どんな人でも「凄いね!」と感じる華やかさを持っている。ハンドリングだって後輪の駆動配分多いらしく、グイグイ曲がって行くから楽しい。
■トヨタにはBEVでのチャレンジャー魂が必要だ!!
ここまで読んで「bZ4Xがアイオニック5に対して優位な点はないのか?」と思うだろう。本来なら耐久性や信頼性を挙げたいのだけれど、おそらく電気自動車は世界規模で「リース」や「サブスク」になるため、毎月の支払い額が基準になってくると思う。
ヒョンデがアイオニック5のリース料金をbZ4Xとガチにしてくれば、ユーザーは性能や魅力度で選ぶ。アイオニック5を選ぶ人、多いと思います。
文頭に書いたとおり、bZ4Xってトヨタブランドだけで2030年に250万台の電気自動車を売るための切り込み隊長だ。最初から頑張って存在感を出すべきだったと思う。それなのに守ろうとした。
おそらく欧米のメディアも「よく出来ているが面白くない」と評価するハズ。ただでさえ欧州市場はトヨタですらヒョンデの販売台数に遠く及ばない。チャレンジャーとしての元気さが必要です!
ここはもうトヨタのマスタードライバーたる豊田章男さんが「これならOK!」と太鼓判を捺すような電気自動車作りをして欲しい。bZ4X、2022年モデルはプロトタイプくらいの位置づけにし、2023年モデルからガツンと個性を出したらいいと、強く強く思う。
今のままだと欧州のライバルを含め勝負にならないだろう。トヨタ、電気自動車ジャンルはチャレンジャー魂が必要だ!
※最後にこの2台について国沢氏に各項目100点満点で採点してもらった。
bZ4X ●ファントゥドライブ度 70点●パワートレーンの洗練性 60点●内装の質感 70点●乗り心地 80点●操作系のユーザーインターフェイス 80点●ハンドリング 80点
アイオニック5 ●ファントゥドライブ度 85点●パワートレーンの洗練性 80点●内装の質感 90点●乗り心地 80点●操作系のユーザーインターフェイス 80点●ハンドリング 85点
【画像ギャラリー】トヨタが満を持して送り込むbZ4Xにサーキットで試乗! ヒョンデアイオニック5と徹底比較!!(37枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方