ホンダアクセスが展開するホンダ車の純正アクセサリーブランド「モデューロ」。エクステリアパーツにおいては、以前から「実効空力」をキーワードに製品作りを進めてきたが、最新のスポーツモデル、シビック TYPE Rでは、独自の発想を持つテールゲートスポイラーまで生み出すにいたった。
はたしてその発想とはどんなもので、いかなる効果があるのか。屈指の難コースとして知られる群馬サイクルスポーツセンターで、国沢光宏氏が出来栄えを試してみた!
文/国沢光宏、写真/池之平昌信
【画像ギャラリー】モデューロパーツで武装したシビックTYPE Rがこれ!(12枚)画像ギャラリー航空機のエンジン後端にみられる「シェブロン形状」を採用
ホンダ車のカスタマイズをしているモデューロは『実効空力』というコンセプトを開発のキーワードに掲げる。具体的に言うと「日常の速度域でも体感出来る空力効果であり、前後のリフトバランスを最適化。外乱に強くヨーの発生を最小限にして誰がどんな道で乗っても路面に吸い付くような安定感と気持ち良く操れる」ことを目標にしているという。サーキットでの限界領域より日常だ。
そんな概念で早くも新型シビック・タイプRのリアウイング(テールゲートスポイラー)をリリースしてきた。標準のウイングとの違いは4つ。
1)NACA4412ベースの翼断面を採用(NACA=アメリカ航空諮問委員会)
2)中央をガーニーフラップ形状にした
3)翼端板が付いている
4)ウイング下面に『シェブロン』なるギザギザした空力デバイスを付加。シェブロン、航空機では騒音を引き下げるためエンジン後端に付けるケースもある
それぞれ簡単に説明すると、NACA4412は空気抵抗とダウンフォースのバランスを重視した航空機の主翼形状。クルマの場合、航空機と上下逆の形状にします。2つ目はダウンフォースの重心を車体の中心に置くことを考えたもの。翼端板についちゃ航空機だけでなく競技車両にも採用されており、ウイングの効率を高めるために使う。最後のシェブロンは自動車業界じゃ珍しい。
雨の群サイでもガンガン踏める!
航空機だと構造物の一番後尾にギザギザを飛び出させるが、モデューロを見るとウイング自体にギザギザを付けている。騒音低下以外、どういう効果をもたらすのか航空機のデータや文献を探してみたのだけれど存在せず。モデューロの開発担当者に聞くと「空気の剥がれがよくなります」。効能としちゃボルテックスジェネレーターやディンプルと同じということだと推測する。
しかも「ハッキリ体感出来ます!」という。実効空力というコンセプトだからそれを狙ったんだろう。試乗は標準のウイングのまま「攻めたら世界有数の難コース」(試乗日は本降りの雨という難易度アップのおまけ付き)と言われる群馬サイクルスポーツセンターを2ラップ。ピットインしてモデューロのウイングに交換し2ラップして違いを感じて欲しいという内容。
そもそもこんなコンディションでアクセル踏めるのかと危惧しつつコースインすると、驚いたことにガンガン踏める! 新型タイプRのハンドリングは鈴鹿サーキットを走って素晴らしいと感激したが、上下方向の入力が激しい群サイでも通用した。『R』モードだとハネまくるものの、ノーマルモードでちょうどよい感じ。なかでも「スゴクいいね!」したのはリアの挙動。
限界を超えると流れ始める。その流れ出しがコントローラブルなのだ。粘るだけ粘って「ツルン!」と流れるんじゃ無く、限界に近づくとウエットであってもジンワリ外に出て行く。ちなみに標準のウイングもダウンフォースをしっかり出しているそうな。ただ雨の群サイだと、100km/hを超えるようなコーナーは少ない。いやウイングの効果を認識できる130km/h以上のコーナーは1つだけ。
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