日本車にはないベンツSクラスのBEV版「EQS」の凄さと2リッター直4にはがっかり!?「新型SL」公道初試乗!

■直4にがっかりすることなかれ!! 生き残っただけでもありがたい

 AMG SL43を目の前にすると、いかにもスポーツカーといった雰囲気の車幅の広さと低さに高揚させられる。最新流行のマッドペイントのボディカラーは、クラシカルにも思えるロードスターにこそマッチするのかもしれない。インテリアのタンカラーの本革シートの相性も抜群だ。自分で買うとしても(とても買えないが)、この外装と内装の組み合わせを選ぶだろう、と思った。

 アイポイントの低いドライバーズシートへ乗り込むと、目の前には、メルセデスの最新の、艶やかな2枚のデジタルメーターが並ぶ。メーター側のディスプレイは、昨今のメルセデスと同じく、複数の表示パターンから選べる仕様だ。センター側のディスプレイは、屋根を空けると自動で垂直に立ちあがり、太陽光の反射を防ぐよう仕組まれている。おかげで、試乗中にセンターディスプレイが見えない、といったことはなかった。

 走行を始めれば、走りの軽さに感動する。車両重量は1780kgと決して軽いわけではないのだが、吹け上がりのレスポンスが良い直4ターボが低速から引っ張ってくれるので、スイスイと走る印象だ。

 また、グリップの高いミシュランのパイロットスポーツ4S(フロント265/40R20、リア295/35R20)の威力は絶大で、コーナリングやブレーキングもやりやすく、試乗コースであったターンパイクでは、実に気持ちの良い走りを堪能できた。日が陰りやや寒い時間帯であったが、オープン走行であっても風の巻き込み自体は少なく、また首の真後ろ付近に温風が当たるようになっていたので、寒がりな筆者としては非常に助かった。

 ただ、直4エンジンの音質はどうしようもない。かつてV8やV12といった多気筒エンジンだった時代のSLと比べると、新型が直4エンジンになった、という事実にがっかりされる方も多いかと思うが、新型SLでは、モード可変によってエンジンサウンドが変わる仕組みなど、面白みも加えられており、今の時代に、高出力ガソリンターボのモデルが生き残っていること自体が奇跡だと思ってほしい。

 1人か2人で、ワインディングをハイスピードで、もしくは街中を優雅に流すならば、こうしたロードスターは最高だと改めて感じた。

リトラクタブルリアスポイラーは、走行状態によって角度が可変するが、車速や前後左右の加速度、操舵速度など、多くの情報をもとに決められる。5段階(マイナス11度、6度、11度、17度、22度)、80km/h以上で展開する。積極的なドライビングを検知すると、最大角度にセットされる
リトラクタブルリアスポイラーは、走行状態によって角度が可変するが、車速や前後左右の加速度、操舵速度など、多くの情報をもとに決められる。5段階(マイナス11度、6度、11度、17度、22度)、80km/h以上で展開する。積極的なドライビングを検知すると、最大角度にセットされる

■まとめ

 今回のEQS、そして新型SLには、AMG仕様のステアリングホイール程度しか共通のパーツは見当たらなかったが、運転時の安心感の高さは、パワートレインが電動になろうと、液晶ディスプレイが多面化しようと、メルセデスの歴史の中で脈々と続いてきたものであり、EQSも新型SLも、間違いなくメルセデスのラインナップの延長線上にあると感じた。

 特にEQSは、静けさだけが取り柄の無味無臭なBEVが多い中、モードチェンジで野太い加速サウンド(サウンドエクスペリエンス)を表現するなど、BEVの新たな可能性を見せてくれた。

 新型SLも「最後」のガソリンターボ車になる可能性は大きい。将来どういった姿で新生SLを表現してくれるのか、また、メルセデスならではの味付けをどのように施してくるのか、今後のメルセデスが非常に楽しみに感じた、今回の試乗だった。

【画像ギャラリー】メルセデスベンツのフラッグシップEV「EQS」とラグジュアリークーペ「SL」を写真でじっくりチェック!!(40枚)画像ギャラリー

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