■LSのインテリアはシートの改善などは見られる
インテリアを見てみましょう。ドアからインパネまで流れているスリット状のアクセントラインは、ウェーブ状の流れがあり、躍動感を感じさせていいのですが、ドアハンドル前にある大きな装飾アルミパネルが、途中で繋がりや一体感を切ってしまっているのはもったいないです。
このパネル以外は、考えられたモダンで質感の高いデザインです。
センターアームレスト部分の物入れのフタの部分は両ヒンジで左右どちらからも開けられるのは親切な設計でいいのですが、助手席側から開けてみると大きなフタがドライバーのハンドルを握る左肘に当たってしまいます。
隣の人に不意に開けられる場合なども想定し少し詰めて欲しいところです。アイデアはいいと思います。
後席に座ると、初期型で感じた「底付き感」がずいぶんと改良されました。スッと座った瞬間に違いを感じます。
お尻のフィット感やストローク感が高まっています。座った姿勢も安定します。お尻が滑らなく安心して乗れます。
パンパンだった表皮の張りが緩められて突っ張り感がなくなり、中のウレタンも適度にチューニングされました。
これだけでずいぶんと乗り心地がよく感じます。後席だけではなく、運転席も助手席も同様です。シートは見栄えや納品時の品質検査を意識して、表皮をパンパンに張りたがるのです。
特に生産開始の初期は。緩めに張るとどうしてもシワが気になるのです。しかし適度なシワの遊びが重要な要素なのです。
トランクはボディサイズを考えれば標準的な広さです。汚れた時や荷物を持っている時、トランクリッドがフットセンサーで開閉すると便利なのですが、トヨタはなかなか採用してくれませんね。
エンジンルームは樹脂カバーで覆われてほとんど中が見えません。以前確認したとおり、アルミ鋳物のサスペンションアッパーを使ったガッチリ剛性の高い構造を採用しています。
エンジン本体のカバーは最近流行りの吸音樹脂が使われていますね。
エンジンフード開口部の隙間と段差が大きいです。ベンツはキッチリ5ミリでやっていますが、レクサスは8ミリあります。
さらにバンパーとフェンダーパネルとの段差が気になります。ここは造形線図通りにキッチリ合わせてしまうと、傾斜面のパーティングで段差が目立ってしまうのです。
バンパー側を1ミリ程度落とし込んで補正してやるときちんと合っているように見えるようになります。
このあたり、ベンツはちゃんとわかって補正されていて、グリルとフードの合わせ面などもピタリと合って見えるのはさすがです。ノウハウです。
■細部の作り込みにベンツのノウハウが生きる
Sクラスのインテリアはベンツの王道。EでもCでも、前回乗ったGクラスも基本的な造形や主要な操作ユニットは同じです。
最初は新鮮だったワイドな液晶画面のメーターパネルも見慣れたものになりました。センターアームレストのフタはレクサスと同じく両ヒンジですが、助手席側から開けてもドライバーの肘に当たることはありません。
最新のベンツは2分割されていてセンターから左右に開くタイプとなっています。後席の座り心地はSの勝ちです。ウレタンのダンピングが効いている。
けっして柔らかくはなく、むしろ硬めの座り心地なのですが、走っている状況で大きな衝撃が入ったような場面で乗員が感じる突き上げ感はベンツのほうが小さいはず。
これは下に硬いウレタン、上部にソフトなウレタンを重ねた二層構造のウレタンで減衰特性がとてもよいです。長時間乗っても疲れないシートです。
後席の乗り降りは、Sはシル段差が大きくいいとは言えません。LSの方が段差も小さく足元にゆとりがあります。トランクはSのほうが深く、より多くのものを積むことができます。
エンジンルームを見ると、直列6気筒エンジンの排気側にものすごい断熱材が敷き詰められています。これは遮熱のためだけではなく、逆に保熱のためでもあるのです。
法規で定められている氷点下8度、寒冷時のエンジンスタート時は濃い燃料を吹くために排ガス成分が悪化するのですが、最新の厳しい排ガス規制をクリアするためにも濃い燃料は極力使いたくない。
早急にエンジンルームの温度を上げたいのです。また一方CO2低減のために通常時の燃焼温度を高めにし、断熱性能を上げて周りの部品の熱害を防ぐ必要もあるのです。
保温材と断熱材と両方の機能が必要なのです。
ベンツは直6エンジンを新開発しましたが、これはすべて排ガス対応のため。V6だと排気管が両サイドにあるために触媒の温度が上げにくいのですが、直6ならば片側に集約できます。
熱源となる排気系を一箇所に集中させることで排気対策がやりやすくなります。厳しい規制のなかで6気筒エンジンを成立させるためには直列がベストの選択だったのです。
コメント
コメントの使い方