環境にもよく、静粛性や加速感などからもファンが多いEV。特にパイオニアともいえる日産リーフへの期待値は大きいものがある。
ただひとつ懸念があるとすればその航続距離だろう。400kmというカタログスペックに到達するのは至難の業であり、実質的には250km程度が目安とされている。
しかし62kWhバッテリーを搭載した新モデル「e+」が追加された。今度の「e+」はバッテリー容量の増大で航続距離アップは当然のこと、モーター出力向上で乗り味も変わっているようだ。
EVでラリーをするなどEVの経験値は業界トップクラスの国沢光宏氏が試乗しました。
文:国沢光宏/写真:平野陽
ベストカー2019年2月10日号
■10年10万km経っても実用性は持続する「e+」
現行リーフのデビュー時から「遅れて発売」をアナウンスしていた、大容量バッテリー搭載の『リーフe+』がデビューした。
簡単に紹介すると、e+はリチウムイオン電池の搭載量を40kWhから62kWhへ増やし、同時にモーター出力も150psから218psに向上させている。
ちなみに実用航続距離にかぎりなく近いアメリカのEPA航続距離は40kWhタイプで240km。62kWhなら380km程度まで伸びると思う。充分な性能だ!
380km走れば”ほぼ”途中の充電なしで目的地に着くし、そこから移動する場合も急速充電性能が大幅に上がっているため、30分充電ごとに150kmぶんくらいを追加できると思う。
また、経年変化などによる電池容量の減少に対しても強い。仮に10年10万km後に残量75%となったって46.5kWhと、40kWhの現行リーフより大きい容量を残す。
バッテリーを62kWh搭載したら、クルマの寿命まで保つということ。
■夏場のバッテリー温度への対応は充分か?
前置きはこのあたりにして試乗といこう!
試乗ステージは何と電気自動車にとっちゃ極めて相性の悪いサーキットである。電気自動車で全開走行すると、瞬く間にバッテリー温度上がり出力制限がかかってしまう。
こうなるとパワー落とすだけでなく急速充電の充電速度まで大幅に落ちるのだった。電気自動車レースや全日本ラリーで何度苦しんだことか。
1周2.4kmの袖ケ浦サーキットなら、フルパワーで10周走れたら上等です。
ということで試乗の目標はセーブモードに何周で入るかの確認もしたい。コースインして当然のごとく全開! う〜ん! こりゃ速いです!
バッテリー搭載量増加により車重が160kg重くなったとはいえ、パワーウェイトレシオは10.1kg/psから7.7kg/psと大幅に向上している。
また、重くなったぶんは車体の中央&低い位置のため、重さはあまり気にならない。パワフルなのでトラコン稼働しまくり。LSDが欲しくなっちゃうほど。
車体そのものの仕上げも40kWhより向上している。聞けばバッテリーケースの剛性を大幅に上げたそうな。
ラリー車を作る際にボディ補強をする必要ないほどガッシリしていた初代の前期型リーフと同等の上質感を持つ。
また、フロントストラットのアッパーマウントに格上の車種と同じく動きのいいベアリングを使ってきた。コストが高くなるものの、ハンドルを戻す時の滑らかさがキッチリ出るから素敵です。
さてバッテリー温度です。40kWhリーフは夏場だと高速道路を走り、急速充電するだけでセーブモードに入ってしまった。そんなことから62KWhはバッテリーを冷却しなくちゃダメだろうと言われていた次第。
結論から書くと、少なくとも9ラップのサーキット全開走行(同じ車両で誰かが9ラップ乗ってるためトータル18ラップ)して3分の2くらいの温度にしか達しなかった。
通常の使用なら問題ないかもしれません。
【リーフe+ 価格&スペック】
・e+ G 472万9320円(40kWh車 G:399万9240円)
・e+ X 416万2320円(40kWh車 X:366万1200円)
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