■パワー&トルクアップの効果はいかほどものか?
さぁ、では走り始めよう。
まず加速フィーリングだが、明らかに400Rよりも3000rpm前後のトルク感が厚い。パワースペックは400Rの405ps/475Nm→420ps/550Nmへと、特にトルクが軽自動車1台分ほど増強されている。
実用域、市街地レベルの一般道走行ではとても扱いやすいトルク特性をも併せ持っている。もちろんアクセル全開にすればトップエンドの7000rpm付近までも一気に吹け上がる。
全開加速感は400Rよりも明らかに強力だ。このエンジンにはGT500レース用エンジンに携わった開発者が同じ開発設備で手組みによるチューニングが施されているという。
また、ATの変速スケジュールも専用チューニングされていて、高速道路の上り坂などでの追い越し加速では、強力なトルクを生かしてシフトダウンせずにブースト圧を維持しながら加速。
「SPORT+」のドライビングモードでは逆に高回転を維持しながらレスポンス重視のシフトスケジュールでスポーツドライビングをサポートする。
■タイヤも専用開発品
このパワーアップ、特にトルクアップしたエンジン特性を生かすためにタイヤは専用開発されている。400Rはランフラットタイヤを採用していたがNISMOではランフラットを止めている。
その理由は軽量化としなやかさを出すためとのことだが、バネ下の軽量化はハンドリングに大きく影響し、特にタイヤは回転するので高速になるほどにジャイロ効果によって応答性などに影響が出るのだ。
また、リアタイヤの幅を20mm広げた265/35R19に(フロントは245/40R19)して、増大したトルクに対応している。さらにENKEIのMAT工法による専用ホイールを採用していて、それぞれ+0.5Jと+1.0JのF:9J/R:9.5Jとなっている。
NISMOの車両開発の考え方として「限界性能を超えた時の車両の挙動がドライバーの意図どおりに動くことは、限界領域以下の通常領域では非常に扱いやすい」というものがある。
確かに限界領域以下では安定性が高く狙ったラインを修正舵もなくトレースする。サスペンションのしなやかさも400Rのようなゴツゴツ感もなく(これはおそらくランフラットを止めたから)、締まりはあるが乗り心地もいい。
■限界領域ではどうか?
そこで実際に限界域を超える走りを行ってみた。限界横Gからさらにアクセルを踏み込んでリアの挙動を確かめる。滑り出してもとてもスムーズで安心できるもの。
また、トラクションコントロールの介入もいつの間にか制御されていて、唐突に入ってギクシャクすることもなくリアスライドを自然に収束させてくれる。
非常に安心感が高い制御とハンドリングなのだ。なるほど、「P901」活動を経験した神山テスターの味付けは、このような細部にまで渡っているのだ。
サスペンションのチューニングはFスプリングのバネ乗数を+4%、Rスタビのバネ乗数を+44%強化しているだけ。いたずらに硬くなく、タイヤが常に路面を捉えていて、そのインフォメーションも伝わってくる。
ほかにボディの剛性アップを図るためにフロントガラスとリアガラスの接着に高剛性接着剤を全周に塗布している。これはR35 GT-Rにも採用されていて製造過程で別ラインを通す手間がかかるもの。
コメント
コメントの使い方マニュアルは出ないん?
いや、そういう人はフェアレディZ買ってねってことかもしれんけど。