■ハイブリッドモデルに課された開発命題
一方で、私が乗る前に「難しいのではないか」と思っていたのは、ハイブリッドモデルの方だ。ミライは、FCEV専用車であり、そのパッケージがもう出来上がっているため、クラウンのFCEVも良いクルマになるだろうという予感はあった。
しかし、そのFCEVのパッケージにハイブリッドを搭載すれば、何らかのバランスが崩れてしまうのではないかと思ったのだ。
しかし、開発者は「FCEVと同じ乗り味にしてほしい」という要望を受けて、徹底的に開発したそう。前後重量配分がそもそも違うので、同じような動きにするためにスプリングレートやトータルのロール剛性、ダンパーのセッティングなどを合わせ込み、ステアリングを切った時に同じように動くように設計したという。
乗り心地についても、FCEVは、ユニットや排気管などの共振の原因となる振動がないこともあり乗り心地が良いのに対して、ハイブリッドもそれに合わせ込んでいくことが大変だったという。その苦労を知っているとより驚くと思うが、ハイブリッドもFCEV同様にとても素晴らしい出来で、乗り心地からドライバビリティまで、これまでのクラウンとは一線を画すクオリティになっていた。
FCEVに比べると、やはり出足の加速感や静粛性は劣るかもしれないが、価格差を考えれば微々たる差異だと感じる。
■圧倒的な快適性でくつろぐ
もちろん後席の快適性も抜群で、190cm近い編集長が後ろに乗っても、足を伸ばせるほど広々としているし、マッサージ機能まで搭載されていた。細かいことだが、このマッサージ機能も、他車に搭載されていて揉まれている感のないものに比べると、しっかりマッサージしてもらえているような力加減が絶妙だった。
さらに後席の快適性を優先する「リアコンフォートモード」というドライブモードもある。実際に使用してみると、リアのふわふわ感は増すものの、通常のモードでも十分コンフォートだと感じた。
試しに後席に乗って使用してみると、私は逆に酔い気味になってしまい、開発者に聞いてみると「VIPが座るように、シートに体を預けてどっかり座ることが大切」とのこと。ショーファーカーとして使う人にとっても細かいチューニングがなされているのだなと感じた。
クラウンセダンに1日試乗してみて、上級セダンとして全方位に隙がないクルマだとしみじみ実感した。乗る前までは、「クラウンがセダンを辞めるのも時の流れかな……」と思っていたが、実際に試乗してみると「クラウンがセダンを辞めるなんて、とんでもない!」と心から思えるほど、クラウンらしいモデルに仕上がっていた。
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