■インパネは先代型より立体感を向上
インパネの周辺は先代型も上質だったが、新型は立体感を強めた。中央のディスプレイやエアコンのスイッチは、先代型もドライバー側へ5度傾けたが、新型は8度に増やしている。ドライバーは車両との一体感を得やすく、左端に装着されたスイッチの操作性も向上した。インパネは助手席の前側も立体的な形状だ。
ステアリングホイールは、直進状態で下側を平らにしたD字型になる。開発者は「小柄なお客様は足がペダルに届きにくく、スライド位置を前方へ寄せる。そのために大腿部とステアリングホイールが近付くこともあり、D字型にした」と言う。
前席の基本的な骨格は先代型と同じだが、ウレタン材質は変更され、座り心地も向上した。シートのサイズに余裕があり、背もたれの下側は腰を包む形状になる。体重が加わる座面の後方もしっかりと作り込まれ、背中から大腿部までを確実に支える。運転姿勢も自然な印象で長距離の移動にも適する。
居住性は前席を優先させ、後席はあまり広くない。身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席に座る乗員の頭上空間は握りコブシの半分程度で、膝先空間は握りコブシひとつ半だ。
背もたれの角度は、日本車のなかでは立たせている。後席の作りは、頭上や足元の広さ、着座姿勢を含めて先代型と共通だ。そのために座り心地に古さを感じる。柔軟だが着座姿勢が安定しにくいため、体が座面に沈んだところで、もう少し確実に支えて欲しい。
ルームランプはフロントウィンドウの手前だけに装着され、夜間の後席周辺は暗い。後席はドアの開口部の上端が低めだから、乗降時には頭を少し下げる。4名乗車は可能だが、前席に比べるとさまざまな快適性が下がってしまう。基本的には2名以内で使うコンパクトカーだ。
■パワートレーンは新開発の直3、1.2Lを搭載
エンジンは先代型が直列4気筒1.2Lだったが、新型は新開発の直列3気筒1.2Lだ。グレードは3種類あり、2グレードはマイルドハイブリッドを搭載する。今回の試乗車はハイブリッドMZであった。
エンジン性能は平均的だが、スイフトは車両重量が軽く、最上級のハイブリッドMZでも950kgに収まる。そのために加速は軽快だ。発進直後の2000回転付近でも駆動力が相応に発揮され、4000回転を超えた領域の吹け上がりも活発。
登り坂でアクセルペダルを踏み増すと、3気筒エンジン特有の粗さを感じることもあるが、通常の走行ではあまり意識させない。
■燃費が新型スイフトの注目点!
注目されるのはWLTCモード燃費で、マイルドハイブリッドを搭載する2WDはCVTが24.5km/Lで、5速MTは25.4km/Lに達する。先代型のマイルドハイブリッドはCVTが21.0km/Lだったから、新型に乗り替えるとガソリン代を約14%節約できる。
ステアリング操作に対する車両の反応と走行安定性も進化した。先代型もコンパクトカーでは上質だったが、新型はさらに向上して、小さな操舵角から車両が正確に進行方向を変える。カーブに入った後、ステアリングホイールをさらに内側へ切り込んだ時の動きも安定している。旋回軌跡を拡大させにくい。
その一方、下り坂のカーブを曲がったり、危険を避けるために車線を変えたりした時は、後輪が確実に接地して挙動が不安定になるのを防いでくれる。ボディが軽いこともあり、適度によく曲がって安定性も損ないにくい。
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