香港資本で東京に本社を置くファブレス商用車メーカー・ZO(ゾウ)モータースは、国産車シェア100%の国内キャブオーバー小型トラック市場に参入する。昨年からアフターサービス網の構築とともに車両総重量6トン級バッテリーEVトラックの試験販売を開始しており、本年末から26年末にかけて車両総重量3.5トン級~7.5トン級BEVトラックをラインナップする計画だ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/フルロード編集部、ZOモータース
東京に本社を置くファブレス商用車メーカー
ZOモータースは、香港の投資会社・大象未来集団(ZOフューチャーグループ)が2023年に日本で設立した新興商用車メーカーで、製品の企画開発を日本国内で行なって生産は既存自動車メーカーに委託するという「ファブレスメーカー」である。
1月15日に開催された事業説明会で、ZOモータースの花田晋作CEO代表執行役社長は「国内の小型トラック市場は堅調だが、電動車の比率はまだ約3%。ハイブリッド車はシュリンク(縮小)傾向、水素(燃料電池)車は燃料供給の点で課題がある中で、バッテリーEV(BEV)は増えている。政府が電動車の普及目標を掲げるなど、今後も近距離および中距離の輸送用途でBEVが伸びていく可能性は大きい」と市場参入の理由を説明。
また「徐々に高電圧バッテリーのコストが安くなっており、車両価格も引き下げられていく」との見通しとともに、国産メーカーより安価な製品を供給することで「中小企業も顧客対象にしたい」と述べ、国産トラックメーカーとは異なるBEVトラック市場観がうかがえた。
そのBEVトラックの製造委託先として、巨大なBEV市場を擁する中国の商用車メーカー2社と戦略提携を締結し、それぞれから完成車を輸入する。PDI(出荷前点検)業務は埼玉・戸田の専用施設で行なう。なお、同社は米国およびカンボジアへの進出に向けて、両国内に自社生産拠点(前述2社からノックダウンキットを輸入・組立)を設けており、カンボジア工場からの完成車輸入も検討中という。
アフターサービスに関しては、日本自動車車体補修協会(JARWA)と提携、その加盟整備工場(約3000拠点)を利用可能とし、車両技術に関する専門サービス拠点を埼玉(設置済み)、大阪(2025年内)、中部および九州(2026年内)に設ける計画。また、路上故障時の緊急対応では日本ロードサービス(JRS、約9700拠点)と提携した。