2024年はトラックドライバーの給料が上がる!? 「多重下請」の是正や「標準的運賃」引き上げを国交省検討会が提言!

2024年はトラックドライバーの給料が上がる!? 「多重下請」の是正や「標準的運賃」引き上げを国交省検討会が提言!

 国土交通省は2023年12月15日、「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」の提言を公表した。8月から計3回開催した検討会での議論を踏まえて、「荷主への価格転嫁」「多重下請構造の是正」「多様な運賃・料金設定」等の提言を取りまとめた。

 2024年1月以降にそれぞれ運輸審議会への諮問、パブリックコメントを経て改正を行なう予定で、働き方改革関連法による物流の「2024年問題」への対応がまったなしとなるなか、適正な運賃収受と確実なトラックドライバーの処遇改善につなげたい考えだ。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
図・表/国土交通省

「標準的な運賃」改正へ

2024年はトラックドライバーの給料が上がる!? 「多重下請」の是正や「標準的運賃」引き上げを国交省検討会が提言!
「標準的な運賃」制度の実態調査(2022年度)。半数近い運送会社が制度を活用している

 いわゆる「2024年問題」が目前に迫っている。「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が、ドライバー職に適用されるのが2024年4月から。これにより時間外労働などの規制が厳しくなり、従来通りの働き方では物流の停滞が懸念される、という問題だ。

 いっぽうのトラックドライバーからは労働時間が短縮されることで「賃金が減るのではないか?」という声が多く聞かれる。給与が減れば物流の担い手不足がさらに加速するのは自明で、早急に賃上げを実現する必要がある。

 トラックドライバーの給与の原資となるのが、荷主が運送会社に支払う運賃だ。働き方改革関連法の成立後、国土交通省はトラック事業者が適正な運賃を算出し荷主と交渉できるように「標準的な運賃」制度を創設している。当時は「働き方改革」適用までの時限措置だったが、恒久化を求める声も上がっている。

 中小企業など制度を活用できていない企業もあるが、2022年の実態調査によると、荷主へ「標準的運賃を提示している」が21%、「標準的運賃を考慮した自社運賃を提示している」が27%となり、約半数が「標準的運賃」制度を活用していた。その結果、63%は賃上げにつながっており、制度は一定の成果を上げているといえるだろう。

 とはいえ、標準的運賃の8割以上を収受できているのは2021年は35%、2022年は45%だったので、運送会社の多くは標準的な運賃未満で仕事を引き受けているという現状もある。また、多重下請が常態化している運送業では、実際の運送業務を下請けに発注する「水屋(見ずや)仕事」も多く、実運送会社やドライバーに正当な対価が支払われていないという課題もあった。

 ほかにも燃料費高騰や荷待ち・荷役などサービス対価への水準設定といった課題があり、制度の見直しに向けて国交省が論点整理と方向性を議論していた。その結果、12月の第3回検討会で提言がとりまとめられ、2024年1月以降に「標準的な運賃」および「標準運送約款」が改正される運びとなった。

 改正に向けた要点は「荷主等への適正な転嫁」「多重下請構造の是正等」「多様な運賃・料金設定等」の3つとなっている。以下、ドライバーの給与に大きく関わる部分を簡単に紹介したい。

次ページは : 平均8%の運賃引き上げ

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