短期間で即戦力メカニックに!
三菱ふそうにとってVT導入のメリットは、求人面での魅力が高くなることと、大型車メカニックの養成期間を短縮し、その技術・技能・知識の水準も高められることです。
現在は、社内教育機関(FUSOアカデミー)での研修後に、配属先の現場におけるOJT(職場内訓練)を行なっていますが、ひと通り修了するには約5年の期間が必要でした。しかも、研修後に商品化された最新技術への対応(再研修)のタイムラグや、地域による入庫車モデルの新旧差、OJTでの担当業務の違いなどによって、メカニックの質が異なる状況でもありました。
VTでは、いわばOJTと並行して座学を実施することで、メカニック育成を約2年ぶん短縮でき、しかも若手にして即戦力かつ最新技術に精通した中堅メカニックを、全国に配属できることが期待されています。
専門学校と同じく技能試験免除を交渉へ
三菱ふそうのVT第1期事業(2024~27年度)では、全国の三菱ふそう各販社において社員からの志願または推薦で集められた若手メカニック18人が、VTに参加することになりました。将来的には、新卒メカニック教育を全面的にVTへ移行する考えで、中途採用メカニックの教育にも活用したいとしています。
ただ、VTのカリキュラムには、日本の第一/二/三級の各自動車整備士資格に対応する内容が含まれているものの、仮にいまの時点でVTを修了できたとしても、資格試験の免除はありません(ちなみにドイツ本国でVTを修了すると、国家資格・ゲレゼが取得できる)。
そこで、日本でVTを企画・運営する在日ドイツ商工会議所(AHK)では、日本の自動車整備士専門学校の修了者と同じく、国交省の整備士検定試験における実技試験免除、学科試験合格のみ(日整連の登録試験合格者は学科試験も免除)で資格が取得できるよう、国交省と協議を進めることにしています。
なお、VTは本来、自動車整備士だけではなく、様々な専門職の訓練で活用されており、327件のプログラムが設定されています。日本では三菱ふそうのほか、乗用車メカニックの養成で、独・BMWの日本子会社ビー・エム・ダブリュー社が導入することになっています。
【画像ギャラリー】ドイツ専門職業訓練プログラムで日進月歩の電子技術を搭載するトラック・バスに対応(7枚)画像ギャラリー