東京都内を走る「都電」。最盛期には都内を縦横に約213㎞、40系統の路線延長を誇ったが、1960年代後半からモータリゼーションの影響で廃止が進み、1972年、現在の荒川線のみを残して全廃。荒川区の三ノ輪橋から町屋、王子、雑司ヶ谷などを走り、新宿区早稲田を結ぶ12.2㎞の路線はほとんどが専用軌道だが、北区のJR王子駅周辺、飛鳥山付近では併用軌道区間が残る
大阪市の南部、阿倍野区の天王寺から南進して堺市内まで走る阪堺電気軌道。地元では「阪堺電車」、さらに略して「阪堺」などと呼ばれている。このように道路上を走る併用軌道区間が多い
ニス塗されたドアは木材製だということがよくわかる。モ161形は現在、1928年(昭和3年)に製造されたこの161号のほか162号、164号、166号の4両が現役として残っている
車体は鋼製だが乗降扉や床などは木材が使用されるモ161形は「半鋼車」と呼ばれる。木材部はニスが塗布され美しく仕上げられている
専用軌道区間を行くモ161号。クラウドファンディングにより約1400万円の修繕費用が集まり、美しく蘇った
阪堺電軌鉄道の路線図。阪堺電軌鉄道のホームページより転載
古豪モ161形161号。昭和、平成、令和と走り続け、間もなく車齢100年を迎えようとしている。釣り掛け式と呼ばれる旧式の駆動方式が、加速時に独特の“んグォォォォォ~”という音を発する。これがまた魅力的なのだ
阪堺電軌にはバリアフリーに完全対応した超低床車、1001形、1101形(写真左の車両)なども導入されている。右はモ601形
東京の「都電」にも短区間ながら併用軌道の区間が残されている。レールの上を走る路面電車と自動車の共存には、独特のルールが定められている
併用軌道区間では、原則として軌道敷内は自動車の通行が禁止されている
この標識は「軌道敷内通行可」を示すもの。この標識がある場合は軌道敷内を走行できるが、レールの上は滑りやすいので特に注意が必要。また、路面電車が接近してきたときは軌道敷外に出るなど、通行を妨げないようにしなければならない
阪堺電軌の沿道にはこのような看板も設置されている。レールの上は、特に雨などで濡れていると滑りやすく危険。二輪車は転倒にもより注意が必要
白いラインを黄色のラインで囲ったエリアが「安全地帯」を示す道路標示だ。当然ながら自動車の進入は厳禁である
電停表示ポールに併設されている青地に白のV字の標識が道交法で規定される「安全地帯」の標識。自動車の進入は禁止される。また、路面電車の有無および乗降の状況にかかわらず、進行方向側の安全地帯に歩行者がいる場合には、徐行しなければならない
黄色で表示される矢印信号は併用軌道区間で路面電車に対して示される信号だ。自動車に向けたものではないので注意が必要
併用軌道から専用軌道区間へと進行する161号。自動車の誤進入を防ぐため、専用軌道であることが大きく示されている
大阪市内の併用軌道区間を行く阪堺電軌の161号。今後も貸し切り運転などでの運転されるほか、定期運転にも充当される可能性もある。末永い活躍を祈って止まない