レクサスのフラッグシップ「LS」が、ついにセダンという枠を飛び越えた。最新の6輪レイアウトを採用した「LSコンセプト」は、“S=Sedan”ではなく、“S=Space(空間/宇宙)”へと再定義されたのだ。トヨタの月面車技術からインスピレーションを得たこの挑戦が、ラグジュアリーの概念そのものをどう変えていくのか――。
文:ベストカーWeb編集部/写真:レクサス
レクサスLSとは?──旗艦モデルの系譜と存在意義
まず「LS」が何であるかをおさらいしておこう。
レクサスのフラッグシップモデルとして、1989年に初代が登場。日本国内では「セルシオ」としてトヨタブランド時代から販売されていた。
現行LSは2017年にフルモデルチェンジした5代目で、ボディサイズは全長5235×全幅1900×全高1450mm、ホイールベース3125mm。価格帯は1111万円から1725万円というレンジだ。
LSは“レクサスの顔”として、静粛性・快適性・走行性能の高次元融合を体現してきた存在であり、ドイツのSクラスやBMW 7シリーズと肩を並べる存在を目指してきた。
興味深いのが、レクサスにはもう一つ、セダン/ラグジュアリー路線の系譜を支えるもう一台、「LM」が存在することだ。LMはミニバン型ラグジュアリー車で、「乗ること」を重視した室内空間と静粛性を突き詰めたモデルであり、文字どおり“動く応接室”という位置づけだ。
そのため、今回の「LSコンセプト」における“空間体験”への追求というテーマには、どこかLMとの共鳴点もある。だが、LSはフラッグシップとしての威厳と走り、そして“未知への挑戦”というベクトルを持たねばならない。だからこそ、この6輪レイアウトという飛躍が意味を持つのである。
「S=Space」が示す、未知へのジャンプ
初代LS(日本名セルシオ)は、トヨタが欧州プレミアムブランドに真っ向から挑むために生み出した“クラウンの上の存在”だった。そして今、レクサスは再び原点に立ち返り、「フラッグシップとは何か」を問い直している。
豊田章男会長は明言する。「LSの“S”はSedanではなくSpaceである」と。
この“Space”には二つの意味が込められている。ひとつは“極上の快適空間”としての車内価値、もうひとつは“誰も足を踏み入れたことのない未知の領域=宇宙”への挑戦である。
広告キャンペーン第1弾「DISCOVER」に続き、第2弾では“宇宙”をテーマにした映像が準備中とのこと。単なるCM演出ではなく、「レクサス自身が殻を破り、未知へ踏み出す」という宣言なのだ。
月面車からの発想──6輪レイアウトが生む革新
今回の「LSコンセプト」で最も注目すべきは、なんといっても“6輪”という大胆な発想である。
トヨタがJAXAと共同開発中の月面車「ルナ・クルーザー」の6輪構造からヒントを得て、「地球でもこの体験を」と考えたのが始まりだという。
6輪化によって後輪の小径化が可能となり、その結果、室内スペースの拡大と3列目へのアクセス性が劇的に向上した。
「これまで3列目から乗り降りするために身体をひねっていたが、6輪化で“スッと入れるようになった”」と開発陣。つまり、奇をてらったデザインではなく、機能性とラグジュアリーを両立させた必然の形である。
さらに、乗降時にはステージでスポットライトを浴びるような演出も盛り込まれるという。
“乗る前から降りる瞬間まで気持ちいい”──そんな体験型ラグジュアリーを目指しているのだ。




コメント
コメントの使い方車体後半部分は正に『路面電車』、『ちんちん電車』ですね!
昔、アルファードを揶揄する表現だったけど、実車が表現通り更に進化してる!
(笑