■「セブンティーンコンプレックス」とは!?
ルックスがいいだけに性格が気になるところだが、前述のとおり、なかなかに強烈で個性的な男である。
そもそも、開幕戦に出場しなかった理由というのが、その日は彼女の誕生日だったため。MFGの”神フィフティーン”と呼ばれるトップドライバーのひとりでありながら、レースに対する貪欲さ、熱心さ、執着といったものがまったく感じられない。MFGへの参戦理由も小遣い稼ぎだという。
そしてさらに言葉を失ってしまうのが、彼の性的パーソナリティーの部分だ。このシーズンで参戦3年目となる沢渡のことをよく知る、相葉瞬いわく、「17の女しか好きにならないっていう……筋金入りのロリコンなんだ」。
……コンプライアンス的にいろいろ問題ありそうだが、沢渡本人はこれを一応否定し、「しいていうなら、セブンティーンコンプレックスです」と、通りのよさそうな言葉で言い換えている(←問題解決にはなってない)。
現在21歳の沢渡は、「17歳女子のポテンシャルをなめたらいけません。やつらは最強です」と説得力ありげに話しているが、そうなった理由もよくわからない。
初恋は小学生の頃で、友人の姉(当時17歳)にひと目ぼれ。中二でできた初めての彼女は、やはり17歳のJK。それ以来17の女性ばかりを好きになり、フランスにいた3年間にも4人の17歳と付き合ったとのこと。
本当はカーナンバーも「4」でなく「17」をつけたいと考えており(笑)、さらに、今付き合っている彼女が18歳になったら「別れます」と断言している。なお、本能的な嗅覚で(素性を隠している)「7番ちゃん」こと西園寺恋のことを、「17か18」と見抜いている。なんというか、ここまでくれば、「恐るべしセブンティーンコンプレックス!」としか言いようがない。
■夏向によって目覚めた闘争心
もちろんカーナンバー「4」は伊達じゃない。「ドラテクはハンパない」「テクニカルステージにはやたらと強い」「潜在能力的にはベッケンバウアーに迫れる唯一の男」と相葉が惜しみなく絶賛するほどのドライビングの腕前を誇り、フランスの名車・アルピーヌ A110を駆る。
ラウンド2「芦ノ湖GT」の予選では、その潜在能力を出し切り、MFG史上初となるまぼろしの(高橋啓介が打ち立てた)コースレコードを破った。この走りは前代未聞のスーパーラップと評されたが、走行後に彼女へ電話して「まだ本気は出してねーけどな」と話しているのだから驚く。
プレイボーイキャラというのは多くのマンガに登場するが、『頭文字D』の主要登場人物にはいなかった。現代的で、ある意味イノセントな、興味深い存在である。しかしその後、ラウンド2、ラウンド3とステージを経ていくごとに、沢渡は変貌を遂げていくことになる。
たとえばラウンド2では、ベッケンバウアーとの一騎打ちで壮絶なバトルを繰り広げた挙句、「なんだかなァ…オレも…ずいぶん変わっちまったもんだぜ……1位にこだわる気持ちがここまであるとはな…!!」と、結果にこだわりを見せる場面が見られ、ベッケンバウアーに負けると、「泣きたいほど…くやしいぜ!!」とも発言。
闘争心が目覚めた理由は、自ら「カナタ・リヴィントン、おまえがいるからさ……」と語っており、「この世の中で一番大事なものが女ではなくなった……。悪く思うなよ沙奈……。これが本当の……オレだからな!!」と、悔しさのような感情を滲ませている。
そして、ラウンド3「ぺニンシェラ」終了後、ベッケンバウアーと夏向に惜しくも敗北して3位でフィニッシュすると、「レースでドッグファイトになった時……勝負所の最後のひと伸びでいつもミハイルにさされてしまう……」「だから……ゴメンな……可愛いクルマと別れる時は、女と別れる時の何倍もつらい…」とA110からのマシン乗り換えも示唆している。
イケメンキャラで女性読者からの人気が高いかと思う反面、セブンティーンコンプレックスなどと言ってるので、硬派な女性ファンには「キモい」と思われるかもしれない。今後のファンの動向は、これからのバトルでの活躍、そして彼のレースへの打ち込み方、変貌次第になるだろう。
■掲載巻と最新刊情報
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