最近のクルマの買い方として主流になりつつある残価設定型ローン。高い残価率を設けることで、ローンによる月々の支払額が大幅に減り、ワンランク上のクルマまで買いやすくなった。利用しやすい残クレは契約数が増えていく一方、残価設定期間満了時の手続きを誤るととんでもないことになることも。クルマに乗り続けるための再ローンは絶対にNGだ!
文:佐々木 亘/画像:トヨタ
【画像ギャラリー】再ローンは避けないと残価設定の意味無しってマジ? 月々7万円弱の「アルファード」をギャラリーでチェック(23枚)画像ギャラリー残クレが終わったあとに取れる3つの方法
まずは残価設定型ローンの基本である、満了時の手続きについておさらいしていきたい。残価ローン契約満了時にユーザーは3つの方法から1つを選ぶ必要があるのだ。その3つとは
1.契約満了したクルマを買い替える(もしくは手放して新しいクルマは買わない)
2.残りのローン(残価)を現金一括で支払い今のクルマに乗り続ける
3.残りのローンを再び分割支払いにして返済しながら今のクルマに乗り続ける
というもの。残価設定ローンを選んだユーザーのうち3割近くの人は、ローン満了時に新車へ乗り換える「1」を選ぶが、残りの7割近くの人は今のクルマに乗り続ける「2か3」を選択するのだ。
ここで注意したいのが、「3」の再ローン。これは、滅多なことが無い限り選ばない方が良い。その理由を解説していく。
再ローンが払えず強制買い替えになるケースも
残価設定型ローンのいいところは、残価を設けることによりローン期間内の毎月返済額が小さくなるところと、ディーラーローンの中で低い金利を適用できるところにある。
しかし再ローンでは、残クレ契約時の低い金利が使えないのだ。ここに大きな落とし穴がある。一体どういうことになるのか、残価設定型ローンでの購入が非常に多いアルファードでの支払いを例にとり、説明していきたい。
購入グレードはZ(HEV・FF)で、車両本体金額は635万円だ。登録諸費用やオプション代は現金精算したものとして、今回の借入金額は車両本体金額のみの635万円とする。
3年間の残価設定ローン(ボーナス無し)で金利は2.9%、アルファードの3年残価率は70%で計算した。この条件でローン支払い額を計算すると、月々の支払額は6万7000円程度になる。納車から向こう3年間はこの金額を払い続ければいい。
問題は納車から3年後、初回車検を迎えるタイミングだ。このとき、アルファードにもう4年乗ろうと考え、再ローンを組むことにしたとしよう。借入金額は444万5000円、借入期間は4年となるのだが、金利が残価設定ローン時とは大きく異なる。
多くのディーラーでは、残価設定ローンの利用促進のために特別金利を設定していることが多い。これが再ローンとなると、金利はディーラーローンの基準金利に戻る。おおよそ4%台後半から6%程度だから、仮に借入金利を5%として再ローンを組んでみよう。
444万5000円を、4年・5%で元利均等返済すると、毎月の返済金額はおよそ10万2000円。従前の2倍近くに跳ね上がるのだ。これが返済できずに、アルファードを手放す(他のクルマに買い替える)人が結構多い。残価設定ローンの闇の部分である。
やむなく再ローンなら満期前に動け!
既に残価設定ローンを組み、再ローンの選択肢しかないという場合には、残価設定ローンの満期前に借り換えへと動くしかない。今あるディーラーローンを、銀行のマイカーローンに借り換えするのが、最善策と言えよう。
銀行のマイカーローンは購入時しか使えないと思っている人がいるかもしれないが、借り換えにもしっかりと対応してくれる。金利は変動で0.9%程度から3%以下というところが多く、残価設定ローンからの切り替えでも、大きな返済金額増にはなりにくいのだ。
ただし、借り入れには厳格な審査が必要となるのが銀行ローンの常。また審査に時間も要するため、残価満了時期が差し迫った状態では、融資が間に合わないケースも出てくるので注意してほしい。
残価設定ローンを利用する際の肝は、ディーラーで再ローンを組まないことと、無理に短期の残価設定ローンにはしないということ。満期時に選ぶのは残債の清算のみだ。清算方法はクルマでも、現金一括でも、銀行借り換えでも構わない。
世の中の上手い話には必ず裏がある。残価設定ローンの仕組みを正しく理解して、適切なローン契約を組んでほしい。
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