【激増中なるも要注意点!!】「残価設定ローン」の落とし穴と副作用

エアロ仕様は残価率が高い

 残価設定ローンが多く利用される背景には、携帯電話の普及もある。以前の認識では、ローンは危うい借金とされたが、定額制の携帯電話が普及した今では毎月お金を支払うのが当たり前になった。残価設定ローンの抵抗感も薄れている。

ステップワゴンのエアロモデルであるスパーダは残価設定ローンを使うことで標準ボディと同じくらいの支払額に抑えることができるケースもある

 普及が進んだため、今のさまざまな販売動向の根底には、残価設定ローンがある。

 例えばステップワゴンは、エアロパーツを装着したスパーダのみに、大幅なマイナーチェンジを施してハイブリッドも加えた。

 標準ボディは小規模の変更にとどめている。その理由としてメーカーは、「ステップワゴンの登録台数の約90%をスパーダが占めるから、マイナーチェンジもスパーダ中心に行った」と説明した。

 この偏った販売比率にも、残価設定ローンが関係している。3年後の残価率は、スパーダなら新車時の50%、標準ボディでは44%という具合に差が生じていたからだ。

軽自動車のエアロモデルは人気も高く、3年後の査定額も高い傾向にあるが、ボディカラーも重要な要素となり、イエローなど好みのわかれる色は不利になることも

 そうなるとカッコよくて価格の高いスパーダと、外観は大人しくて価格の安い標準ボディで、月々の返済額がほぼ同じになってしまう。車両を買い取る場合は、スパーダでは月々の返済額が少ない代わりに高い金額を支払うが、車両を引き渡すのであれば出費は同等だ。

 N-BOXなどの軽自動車も含めて、エアロ仕様は残価率が高い。ボディカラーもブラックや光沢のあるホワイトは有利だ。

 セールスマンも「ブラックとホワイトボディのエアロ仕様は売却時に有利」と推奨するから、売れ方が一層偏る。標準ボディに明るいブルーやグリーン、イエローなどを設定しても、売れ行きを伸ばせずに廃止されてしまう。

借り物という認識で大切に乗る

 ただし残価設定ローンには注意点も多い。まず走行距離やボディに付いたキズなどが規定の範囲に収まらないと、車両を引き渡す時に精算が生じる。走行距離の規定は1か月当たり1000km、3年契約なら3万6000kmのパターンが多く、1km超過するごとに5~10円が加算される。

プライベート、仕事で使用し、かつ高速移動が多い場合は走行距離が伸びて規定の距離を大きく超えると生産時に大きなマイナスとなる

 特に事故には注意したい。登録して2年後くらいに自分の過失に基づく全損事故を発生させると、車両保険金の全額を返済に充当しても、債務が残る場合がある。登録から2年も経過すると車両保険価額は低下するが、残価設定ローンでは返済額が少ないから、債務はあまり減らない。その結果、残債が生じやすい。

 追突事故の被害にあった時も面倒だ。損害の程度次第で事故歴になり、精算が生じるが、この金額まで加害者に請求するのは難しい。自分が無事故でも精算金を支払わねばならない。

スポーツ&GTなどは手も入れたくなるし、ガンガン走ることでキズなどもついてしまいがち。この手のクルマは残価設定ローンには向いてない

 対策としては、車両保険の新車特約(車両新価特約)に加入しておくと、半損以上の被害が生じた時に新車購入費用を補償してくれる。その代わり保険料が高い。

 以上のように残価設定ローンを利用する時は、車両を借りているつもりで大切に使うことが求められる。車両保険も手厚く加入しておきたい。

 また先に述べたとおり、月々の返済額が少ない残価設定ローンでは、債務の返済される速度が遅い。低金利に魅力を感じて利用するとしても、返済期間を短く抑えて頭金を多く充当するなど、なるべく債務の負担を抑えるように心がけたいものだ。 

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