■クルマを所有すると生涯で2560万円がコスト
クルマに関する税問題は大いに悩ましいことだが、トータルコストを引き下げることもなんとかしないと日本のクルマ界の未来は暗い。
例えばコンパクトクラスのクルマを40年間維持すると(車両代、税金、保険、ガソリン代、タイヤ交換代、高速料金、駐車場代などなど含む)、なんだかんだでトータル2560万円ほどかかるという試算をした人もいる。
クルマを持ち続けるということは、それだけお金がかかるということ。
この試算をベースにすると、クルマに乗ると年間64万円のコストがかかるということになる(うち車両代金は年間20万円)。これをアメリカと比較してみよう。
2016年アメリカの金融関連会社ブランクレイト社が50の州でクルマの維持費を調査したところ、最もクルマの維持費が高かったのはワイオミング州で、平均27・7万円。
最もクルマの維持費が安かったのはアイオワ州の平均19・9万円という結果だった。これには各種税金、ガソリン代、保険料は含まれるが、車両購入費は含まれていない。
日本の場合は、車両代金を引いた年間維持費は44万円となるので、ワイオミング州よりも約16万円高いということになる。
厚生労働省が調べた平成29年の大卒の平均年収は206.1万円。こうした若者に年間64万円のコストをかけてクルマに乗れということはどだいムリな話。
いま日本の自動車メーカーは若者のクルマ離れをなんとかしたいと必死だが、それには安価で魅力的なクルマを提供することも必要であり、こうしたランニングコストの問題、税金の問題をひとつひとつ解決していかないとダメだろう。
クルマを手に入れた後も、ずっと馬鹿げたランニングコストをとられるクルマを、若者が所有する気になど、なるはずがない。
しかも今後は少子高齢化でクルマを買う人の数自体が少なくなる。
こうしたユーザーを無視した制度が改善されないかぎり、いま話題のライドシェアが本格的に進み、自動車生産が日本の基幹産業から滑り落ち、生産拠点が海外に拡大するだけ。そうなると、労働人口も減るだけだ。
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