損得の分岐点は、小排気量のコンパクトカー
例えばヴィッツ1.3Fの場合、現在の税込み価格は148万1760円だが、消費増税後は150万9200円になって2万7440円値上げされる。
2020年9月30日までに登録すれば、環境性能割が2%から1%に軽減され、現在の自動車取得税に比べると1万7600円安くなる。
つまりこの段階で、2万7440円の増税分が9840円に縮まる。そして1001~1500ccの自動車税は年額4000円安くなるから、3年間所有した後は、消費増税後に登録した方が出費を安く抑えられる。
概算でいえば、1.5L以下のエンジンを搭載する現時点の税込み車両価格が150万円以下の小型車は、消費増税後に登録したほうがトクをすることが多い。
それでも環境性能割の軽減措置が前提だから、登録は2019年10月1日から、2020年9月30日までに行う必要がある。また現時点で免税になっているハイブリッドやクリーンディーゼルターボは、環境性能割の軽減措置が受けられず、自動車税の引き下げのみになる。
それから消費増税は、車両やオプション価格だけでなく、販売会社が受け取る各種の代行手数料についても行われる。そうなると購入後の車検や点検整備費用も増える。
消費増税前にクルマを買うなら、消費税率8%で点検やオイル交換をセットにしたメンテナンスパッケージに加入しておくと、パッケージの割引きに加えて消費増税分も安くなる。
自動車保険は非課税だが、消費増税により、保険会社の各種出費に伴う税負担は重くなる。これを受けて自動車保険料が値上げの動きがすでに出ている。
ガソリンや軽油価格の値上げも深刻だ。ガソリンの場合、ガソリン税が1Lあたり53.8円、石油税が2.8円課税され、この税金にガソリンの本体価格を加えた合計額に消費税を課している。つまりガソリン税や石油税にも消費税を掛ける二重課税だ。消費税が10%になれば、ますます燃料消費に伴う税負担が増える。
以上のように、購入後まで含めたクルマ関連の費用は、消費増税によって幅広く値上げされる。自動車税の引き下げや環境性能割の軽減措置は行われるものの、クルマ関連の消費を冷え込ませることは間違いない。
消費増税後に登場する新型フィットは大丈夫か?
新型車については、ホンダフィットが2019年10月25日から一般公開される東京モーターショーで登場する。今のホンダでは、軽自動車の販売比率が約50%に達した。人気の高いN-BOXだけでも、国内で新車販売されるホンダ車の30%以上を占めてしまう。
その軽自動車税は、自動車税と違って軽減されない。N-BOX G・Lホンダセンシング(標準ボディ)の場合、環境性能割への移行で現在納める自動車取得税の1万8700円は全額軽減されるが、消費増税分の2万7760円を全額取り戻すことはできない。
従って軽自動車は、消費増税による税負担が重く、売れ行きに悪影響を与える可能性が高い。そこも視野に入れ、フィットは消費増税後の発売にしたのだろう。軽自動車の販売下降を新型フィットの販売増加で補う考えだ。
理屈には合うが、実際の動向は未知数だ。
まず新型フィットの商品力が大きく左右する。新型フィットは新しいハイブリッドシステムを搭載して、緊急自動ブレーキの自転車検知も可能にするが、そのほかの魅力も加えないと売れ行きを大幅に伸ばすのは難しい。
またフィットは実用指向のコンパクトカーだから、ユーザーもクルマを生活のツールと見ており、購入時期を冷静に判断する。新型フィットが登場しても、急いで買うことはしない。愛車の車検期間が満了するなど、合理的なタイミングを見計らって購入する。
従って仮に2019年末に登場した次期フィットの売れ行きが鈍くても、その時点で失敗だと判断するのは早計だ。
最初は伸び悩んでも、長期間にわたって安定的に売れ続ける可能性も高い。N-BOXはまさにこのパターンだった。今は国内販売の総合1位で、2位以下に大差を付けるが、先代型を2011年に発売しながら暦年の総合1位になったのは2017年が最初だ。
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