EVモードでの走行距離が旧型の2倍超という68.2kmをマークするなど、PHVとしての基本性能が大幅に進化した新型プリウスPHV。
しかしながら、価格は普通のプリウスよりも100万円程度高い。はたしてそれだけの魅力が新型PHVにはあるのか? 国沢光宏氏が試乗チェックした。
文:国沢光宏/写真:池之平昌信
ベストカー2017年4月10日号
プリウスPHVの技術ポイントは?
プリウスの数少ない弱点のひとつが「追い越し加速のレスポンス」である。街中走行時、アクセルを踏んだ直後はバッテリーの性能ぶんしかパワーを出せないのだ(エンジンかかってない状態)。
現行モデルだとわずか50ps程度だという。これ以上の馬力が必要な時は、エンジンを始動して回転数を上げていかなければならない。なのでフル加速態勢になるまで2秒ほどかかってしまう。
ところがプリウスPHVの場合、大きなバッテリーを搭載しているうえ、アクセル開度が大きい時は走行用モーター+発電機までモーターとして使い、エンジンが停止していても105psを引き出せる。
追い越し加速がいいと言われる日産リーフに匹敵するパワーを瞬時に引き出せるのだった。乗るとハッキリわかる! レスポンスのよさをうたうノートe-POWERより一段と気持ちのいい加速であります。
リーフと同じくヒートポンプ式の暖房を採用しているのもすばらしい! ふつうのプリウスだと暖気が吹き出すまで最短5分。
充分暖まるまでは、さらにかかってしまう。近距離の移動だと到着したあたりで暖かくなる感じ。
ヒートポンプ式なら2~3分で暖かい風が出てくるのだ。ECOカーの多くは冬場寒いけれど、プリウスPHVは短距離の移動だって快適に過ごせる。
充電&給電機能をどう評価する?
プリウスPHVの充電方法は家庭用100Vと、電気自動車と同じ200V、そして急速充電の3タイプ。
推奨は、2時間少々で満充電になる200Vのほうだ。夜間電力なら70円で50kmほど走れる電力を入れられる。ガソリンだと240円かかる距離が70円ということ。私はアウトランダーPHEVに乗っているけれど、電気って安いと思う。
家庭用100Vは満充電まで14時間かかる。加えて夜間電力の契約をしていなければ、電気料金は210円。
ガソリンとの価格差は30円しかない。あまり一般的な使い方じゃないかもしれない。急速充電も同じ。有料の充電施設だと1回の充電に300円以上かかり、走れる距離は240円のガソリンよりも少ない。
ここまで読んで「なんのための急速充電機能なの?」と思うだろう。ウワサによれば近々行われるバージョンアップでプリウスPHVから家庭に給電ができるようになるらしい。
停電しても家に電力を供給できるということ。停電が許されない生活環境にあるなら、プリウスPHVをプライベートの火力発電所として確保できるだろう。
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