レクサスISとマークX 実際に比べてわかったこと
文:永田恵一
●動力性能/燃費
アクセルを全開にした際の動力性能はスペックどおりIS200tに軍配が上がるが、常用域では、IS200tはトルク感が薄く、V6、2.5LのマークXとイーブン。
マークXには6気筒エンジンとしては並レベルながら、重厚かつシューンと回るV6を積む魅力もあり、総合的に動力性能を見れば引き分け。
燃費もIS200t優勢ながら大差なく、「ガソリン代を気にするならハイブリッドなどのエコカーを買えばいい」という考えもあり、マークXがレギュラー仕様なのも加味すれば、燃費も引き分け。
●ハンドリング/乗り心地
ハンドリングはプラットフォームの新しさなどもあり、シャープでガッシリ感のあるISの勝ち。乗り心地も小さな凹凸では大差ないが、大きな凹凸の吸収ではドタバタ感が出るマークXに対し、ISのほうがスムーズだ。
が、平均スピードの遅い日本の交通環境や、16インチタイヤを履く標準グレードならマークXの乗り心地が良化する可能性が高い点を考慮すると、ISのアドバンテージはそれほど大きくない。
●内装/居住性/静粛性
インテリアの質感は価格相応にIS圧勝だが、価格差を考えればマークXも大健闘。後席の居住性は前後長に加え、頭上高も広いマークXの圧勝。静粛性は価格相応にISのほうが遮音されていた。
●結論
ISとマークXは各々の要素を見ると、価格を考えれば当然のことながらマークXを上回る要素が多いが、「200万円近い差額ほどの価値があるか? 」と言われると、「NO」というのが率直なところ。
加えてマークXは今後早々買えないものとなりそうなFRの6気筒エンジン搭載車であり、それが300万円以下で買えるという強烈な魅力もある。
この勝負は「迷わずマークX」というのが結論。私はマークXが欲しくなったくらいだ!
そのほかのレクサス車とトヨタ車事例
文:鈴木直也
●ハリアーとレクサスNX
プラットフォームは現行型の北米RAV4と同じ。でもミッションはハリアーの6ATはしかたないけど、NXも6ATなのはどうなの? せっかく8ATがあるのに。
●SAIとHS250h
ほとんど差がない典型例。HSはレクサスが日本でのラインアップを拡充したかった時期に出てきた車種だった。まあ、もう役目は終わったかな。アトキンソンサイクルじゃないハイブリッド車だし。
●先代プリウスとCT
リアサスはCTのほうが上等なものを採用しているけど、Cセグメントに出すという義務感で出てきただけ。CTには新しい高級車としての提案がまったくなくて残念。
●ランクル200とLX
これは逆に世界最高のクロカン4WDとしてのブランドアイコンを持つランクルを、レクサスにも持って来たことでOKじゃないかな。
【まとめ】レクサス&トヨタはアウディ&VWになれるのか?
文:鈴木直也
う~ん、おそらく今のままの体制が続くようなら無理だと思う。同じ会社である以上、社内事情に縛られることから逃れられないからね。だって、社内で実際にやっている人も同じで、サプライヤーだって同じワケだから。
今後、トヨタ車の高級版という位置づけから大きくイメージを変えて、レクサスをプレミアムセグメントで本気で成功させたいのなら、完全に別会社にしてレクサスの本社は東京に置いてまずは形から変えていくのが先決すべき課題だと思う。
そのためには社内カンパニー制では不充分。トヨタとレクサスで完全に違うカルチャーが育つようにするためには、かつてのピエヒのように強力なリーダーシップでアウディとVWで徹底的に差別化を図ったようなやり方をしないとダメ。トヨタ社内で続ける以上、尖ったクルマはレクサスから生まれてこない。
でも、そうするとレクサス車全体の販売価格を押し上げることになってしまうだろうから、「ライバルのBMWやベンツよりやや安い」という立ち位置である現状のほうがいいのかもしれない。
いずれにせよ、これは経営者である豊田章男社長が決断すべきことだけどね。
次にプラットフォームが共用化されるのは、2016年12月にデビューしたトヨタC-HR
これがC-HRのレクサス版、レクサスUX。C-HRと同じHV(直4,1.8L+モーター)以外に、NXと同じ2Lターボ搭載モデルも用意されるのでは、と予測
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