【ヴィッツ、スイフト、ノートe-POWER…】最新コンパクトカー乗り心地テスト

 燃費性能は年々向上しているが、そんな最近のクルマでも大きな差となって現れるのが乗り心地。というわけで、ベストカーが99年から続けているのが乗り心地テストだ。

 今回テスト車に選んだのは最近続々とニューモデルが登場して注目を集めている最新のコンパクトカーから5車。

 ノートe-POWER、ヴィッツハイブリッドU、デミオXDツーリング Lパッケージ、スイフトのハイブリッドRSとRSt。それに最新SUV 1車(C-HR)を加えた計6車をテストした。

 テスターはプロフェッショナルドライバー、大井貴之氏にお願いしたぞ!

文:大井貴之 写真:平野学
ベストカー2017年3月26日号


「いい乗り心地」と「悪い乗り心地」について

 今回は最新コンパクトカー4車種、5台とコンパクトSUVのC-HRをいつもの音羽ニュルで乗り比べ。

 今回もいろんな違いがあらわになった。と、6台の評価に進む前に、いい乗り心地と悪い乗り心地の定義について、説明しておこう。

 乗り心地の善し悪しは、簡単にいってしまえば不快感を感じるかどうかの問題。音羽ニュルは、別名「編集部周辺の道」。

 単なる一般道なので、最高速度は50km/h。制動Gも旋回Gも歩行者の飛び出しなどがなければ0.2Gを越えることはない。これでは現実味に欠けると首都高速を走ったこともあるが、首都高速の制限速度は60km/h 。

 ちょうど講談社の裏手となる護国寺ランプ付近には、雨になるとよくスピンやクラッシュが起きていた(昔の話かもしれないが)S字コーナーもあるが、正しく走っているかぎり大きなGが発生するわけでもなく特別な情報が得られるテスト項目とはならなかった。

 だったら、運動性能を考えていないフニャフニャなクルマが有利になるんじゃないの? って思うでしょ。

 しかし、起点としているお寺の境内は砂利道。そこから丸形の滑り止め付きコンクリート舗装の急坂を下り、参道の石畳をまたぎ、歩道を越えて一般道へ。

 片側2車線の幹線道路あり、住宅地を抜ける30キロ道路あり、そして音羽ニュル名物、スピードダウンのための波状路を抜ける。

 そもそも、このコースで乗り心地テストが始まったのはこの波状路の存在がきっかけだったようだが、実際にテストしてみると意外な程に、ふつうの道での違いが大きい。

 また、遮音性や、シートのできのよさ、ドライビングポジションも重要だったりする。

テスターの大井氏が、一台ずつ同じコースを同じように走って比較チェックした

 コンパクトカー5台はBセグメントに属するクルマで、価格は200万円前後というガチなライバル。

 一時期はスタイル以外に大きな違いを感じなかった時代もあるが、ハイブリッド化されたり、ディーゼルエンジンが搭載されたり、軽量化にこだわっていたりとアプローチもさまざま。各メーカーの本気を感じるテストとなった。

通称「音羽ニュルブルクリンク」のコース内になる小日向台地には路面がウネウネとした波状路があり、チェックポイントのひとつ

日産 ノートe-POWER X

2016年12月のビッグマイチェンと同時に新設定されたe-POWER。テスト車はe-POWER X

 今、販売1位のノート。その中心モデルがe-POWERだ。昨年末ビッグマイナーチェンジでe-POWERが追加されたものの現行型は’12年の登場ということで、

 いまだにテレスコがないとか、アダプティブクルーズコントロールの設定がないとか、ベースの古さを感じる部分もあるが、e-POWER導入によって各部が強化され、乗り心地もワンランクアップ。足は硬めだが不快な印象はない。

 チョコチョコ始動するエンジン音は意外なほどに大きく、EVの静かさを期待している人には残念かもしれない。しかし、e-POWERによる1ペダルドライブは楽しい! 

 多分、今までは何も気にせずアクセルやブレーキをパタパタ踏んでいたドライバーの運転が正される可能性がある。1ペダルで走るためには先読みが必要。燃費は上がり、事故は減り、パッセンジャーも快適! すばらしいと思う。

不快指数 32% ハカリの揺れ幅 70g

トヨタ ヴィッツ ハイブリッドU

 新しいテレビCMはどれも楽しいし、WRC初戦で勝っちゃったヴィッツ。

2017年1月のマイチェンでハイブリッドモデルが追加されたヴィッツ。テスト車はハイブリッドU

でも市販車としてはハイブリッドが追加されるタイミングでちょこっと顔を変えた程度でしょ、と思っていた。

 ところが運転席に乗り込んでみると、まず、メーターが凄く見やすくなっている。それだけでも運転席の印象はちょっと豪華になった気分。

 テレスコが付いているわりに可動範囲は狭くドライビングポジションはイマイチだが、走り出した印象はワンランクグレードアップ! 

 ステアリング系の剛性感も高く、しなやかに足が動く印象。今回のマイナーチェンジに伴いボディ剛性アップ、ダンパーの変更などの手が入ったらしいが、その効き目は充分ある。

 特にエンジンパワーがあるわけでもなく、特に静かなわけでもない。そこはヴィッツだが、近頃のトヨタ車に共通したいい進化をしている。

 不快指数 32% ハカリの揺れ幅 90g

マツダ デミオ XDツーリング Lパッケージ

 デミオの魅力は、クラスを越えた上質感だ。ドアを締めた瞬間の密閉感。シートの座り心地もドライビングポジションも合格点。

 だから足は硬めなのだが、乗り心地は不快に感じない。ロードノイズも測定した数値結果ほど気にならなかった。

2016年10月にマイチェンしたデミオ。テスト車はディーゼル搭載車のXDツーリング Lパッケージ

 いっぽう、ネガな点としては、Dレンジに入った状態で停車した時だけはディーゼルエンジンの振動が気になった。

 しかし、アクセルを軽く踏んだだけでスイスイ走る気持ちよさは低速トルクがしっかり出ているディーゼルエンジンだからこその性能。

 ちなみに、デミオはこのクラスでありながらブラインドスポットアラームや車線逸脱アラーム、レーダークルーズコントロールのオプションがあり、アクティブLEDライトなどを付けちゃっても約230万円。楽チン&安心して乗れる快適性も魅力的だと思った。

 不快指数 30% ハカリの揺れ幅 100g

スズキ スイフトハイブリッドRS& スイフトRSt

 ボディサイズ自体は旧型とほぼ同じだが、低く長くなった印象。インテリアデザインもスポーティで1クラス上の上質感もある。

 ドライビングポジションはこのクラスでピカイチ! 新型スイフトはいろいろ進化した。

マイルドハイブリッド搭載のハイブリッドRS

 プラットフォームは一新され、120kgの軽量化は運動性能を引き上げる。燃費や加速性能はもちろん、止まる性能やコーナリング性能(危険回避性能)だって圧倒的に有利であることは間違いない。

 以前にミニサーキットでも試乗したが、エコタイヤを装着しているにもかかわらず、しっかりした走りを見せた。

 しかし、今回の乗り心地テストでは、まず一般道に出るまでの未舗装路や荒れた路面でステアリング系やフロアからの振動を感じた。

 遮音性も実際に走った印象では測定値以下のものを感じた。このクラスとして劣っているとはいわないが、好印象だった旧型からの進化を期待していたオレとしてはちょっと不満。

 この2台、外観の違いはエンブレムだけ。価格もほぼ同じだが、1Lターボは3気筒。1.2Lハイブリッドは4気筒エンジンとなる。

 エンジン出力は10%程1Lターボが勝っているが、車重はハイブリッドのほうが20㎏軽量。1Lターボには6AT、ハイブリッドにはCVTという組み合わせ。価格を含めてどちらを選ぶか迷うところだが、オレが乗るならハイブリッド。

スイフトは2台をテスト。もう一台のテスト車は、1ℓ3気筒ターボを搭載するRSt

 振動は少なく、スムーズさや静かさでは4気筒エンジンが優れている。CVTより6ATに惹かれるが、1ℓターボのマッチングがイマイチ。

 パドルによるシフトダウンは積極的には受け付けてくれないし、シフトアップのスムーズさも足りない。ハイブリッド+CVTは瞬発力だって充分。というわけで1Lターボは今後の熟成に期待したい。

 ステアリング系やフロアからの振動が気になる乗り心地は、両車ともほぼ同じ。

  • 【ハイブリッドRS】
  • 不快指数 35% ハカリの揺れ幅 100g
  • 【RSt】
  • 不快指数 38% ハカリの揺れ幅 90g

コンパクトカーナンバーワンの乗り心地は?

 今回のナンバー1は迷った! 迷いすぎてトーナメント方式で比べてみたり、粗探しをしてみたり……、苦労したが心を鬼にして1台に絞った結果、ナンバーワンはデミオ。

 圧倒的に車両価格が安く、走りとしては気持ちいいスイフト。想像以上に進化しているヴィッツ、ワンペダルドライブで街中の走りも楽しく変えたノート。それぞれに異なる魅力を持ったクルマたちなので、今回は僅差だった。

コンパクトカー5車の乗り心地の差は僅差だったが、質感の高さでデミオが1番でした!
コンパクトカー乗り心地一斉チェック

トヨタC-HRはどうなのか?【参考成績】

 C-HRはニュルで走りを鍛えたクルマ。しかも斬新なデザイン。SUVなのにニュルで鍛え、24時間レースまで出ちゃったどころか、クラス優勝を果たしてしまった。

 一体どんなクルマなのかと試乗の機会を楽しみにしていたが、その仕上がりは期待以上のものだった。

 レースに出たからといってもちっともスポーツ方向に振っているわけではない。印象に残ったのは上質感だ。

 ドアの開け閉め、シートの座り心地、インパネの質感。シートのスライドを調整しただけでもしっかり感がわかる。安っぽさを感じるもととなるガタがないのだ。

 その印象は走り出しても同じ。ステアリング系の剛性感は高く、乗り心地はしなやかで、どこにもガタを感じない。穏やかに、スムーズに走る。

 文句をつけるとしたら、PからBまで一直線の昔ながらのシフトレバー。未来的デザインに合っていないからだ。Pはボタンにするとかを、このクルマはやるべきだったんじゃないでしょうか。

 不快指数 25% ハカリの揺れ幅 70g

注目のSUVということで特別参加となったC-HR。
テスト車はハイブリッドモデルの「S」。乗り心地はトップレベルでした

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