2017年2月より発売開始された2代目CX-5。おりからのSUVブームという追い風もあり(というよりその風の担い手の一台となって)販売を伸ばし、いまやマツダ車の中ではトップセールス車となっています。
(2017年3月の車名別販売ランキングでは月間9669台を売り上げて登録車のなかで12位(デミオは7082台で25位)につけた)
そんな新型CX-5を、テリー伊藤氏がじっくり試乗。自動車評論家とはひと味もふた味も違う視点をぜひご堪能ください。
文:テリー伊藤 写真:平野学
ベストカー2017年6月26日号
■日本のニーズは「わがまま」なのか?
新型となったCX-5、マツダ好きでなかったら、先代モデルと新型モデルの差、瞬間的にはわからないと思う。
右写真に2台が並んでいるけど、0.01秒でどっちが新型かわかりますか? みなさん。
でも、変わらないことがいいことなのかどうなのか……というのは難しいところ。
日本人は昔から〝変化を求める国民性〟である。例えば、ヨーロッパの町の景色は何百年以上もずっと変わらず、中世時代の建物もあったりする。
いっぽうの日本は、50年どころか5年で町の景色がガラリと変わることが多い。5年ぶりに自分のふるさとに帰ると、「こんなに変わったの?」と感じるのはよくある話。
そういうふうに、ヨーロッパの感覚とは真逆といえる〝変化が当然のような国民性〟の日本人。クルマの新型モデルに対しても「今度はどう変わるんだろう?」と、約5年に1度のモデルチェンジを楽しみにしている。
例えば、現行プリウスは先代から大胆に変わり、私は成功したと思う。北米ではデザインやハイブリッドの価値観低下などで苦戦しているようだが……。
それで、日本でも「新型プリウス、変わりすぎ。変なの!」と、変わったら変わったで抵抗をしめす人は当然いる。
そういう〝日本のわがままなニーズ〟のなかで、毎回毎回モデルチェンジのたびに新しいデザインを評価されるというのは至難の業。
自動車メーカーのみなさんは、大変な仕事をしていると思う。モデルチェンジのたびに評価されず、売れなくなったクルマもあるわけだから。
パッと思い浮かぶのは日産のプリメーラ。初代はよかったけど、モデルチェンジのたびにわけわかんなくなっちゃったものね。それだけ、〝変わる〟というのは難しいことなのである。
〝変わる〟という話は、『ベストカー』にもあてはまる。以前本郷編集長さんは「表紙や中身をガラリと買えて売れなくなったら、俺はクビです」と言っていたが、ホント、そうかもしれない(笑)。
さらに私が一番心配しているのは徳間書店が、あのTSUTAYAの傘下になり、私の連載企画がある『アサヒ芸能』の中身はどうなるのか!? ということ。
TSUTAYAのイメージのままにオシャレでスマートな雑誌に変わるのではなかろうか!?
今後も〝暴〟の人たちの抗争を記事にするのかというのも気になるが、もっと気になるのは「隣の奥さんのおっぱい企画」が見られなくなるのではないか、ということ(笑)。
これはもう大心配な話である。これらの企画のいき場所はどこにあるんだ!! と心配でたまらない。
そんな企画はすべてなくなり、オシャレなTSUTAYAらしく、代官山の奥様の〝朝のスムージーの作り方〟企画に代わってしまうのかもしれない。おっぱいがスムージーに代わるかもしれないんですよa これは由々しき問題である。
雑誌のひとつのコーナーでさえ、これだけ気がかりになるのだから(笑)、クルマが〝変わる、変わらない〟というのは大変なこと。大きな決断を求められるわけだから。
ましてや、CX-5はマツダの柱となるクルマ。先代モデルはグローバルで収益の4割を稼ぎ出している大黒柱のひとつ。
そんなクルマをモデルチェンジで、大胆に変えるなんて……、簡単にはできないと思う。
外野は「なんで大胆に変えないの?」と軽く言うけど、「おまえ、何お気楽なこと言ってんだ!!」と、マツダ好きに張り倒されるのがオチである(笑)。
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