新型ヴェンザの中身はハリアーと同じ?
北米市場での名称こそ異なるが、見た目と中身は、ハリアーそのものだ。ハリアーは、FF車が中心で、4WD車も用意。
また、ガソリン車を選ぶことも出来るが、北米仕様は2.5Lのハイブリッドを搭載したE-Four(4WD)車に1本化される。
パワートレインのスペックは、PS(仏馬力)とHP(英馬力)の違いもあるため、若干異なるが、同等スペックと見ていいだろう。
システム馬力で見ると、ハリアーが222psに対して、ヴァンザは219hpとなっている。
ただ、ハリアーと異なる点として、ヴェンザのハイブリッドシステムは、PED(予測効率ドライブ)の搭載がある。
これは、ナビゲーションと連動することで、ドライバーの運転習慣や日常的なルート、その交通状況を記憶して、駆動バッテリーの充電の最適化を図るものだ。
ドライバーがPDEを設定すると、システムがルートを学習。車両が減速または停止する時間と場所を予測し、最適なアクセルペダルのリリースタイミングを案内することで、燃費効率を高めるという。
外観上の差は、かなり少ない。4WDであることをアピールする「AWD」エンブレムが左右のリアドアに装着。このリアテール部のエンブレムも、左側の車名エンブレムが「ヴェンザ」に。
右側の「ハイブリッド」バッチも、ハリアーのブロックデザインのものではなく、英文字デザインのものに変更。
さらにエントリーグレード以外では、グレードエンブレムも追加される。因みにハリアーは、グレードエンブレムは存在しない。
アルミホイールデザインは、「Z」用の19インチと「G」用の18インチのみを採用。タイヤは、オールシーズンタイプとなる。このほかの外観上の違いは、日本では非設定のルーフレールを用意。これは上位グレードにオプションとなる。
インテリアの違いは、より限定的となる。大きなものだと、左ハンドル仕様となり、合わせてエンジンスイッチの位置も移動。ハリアー視点だと、フロントドアトリムのハリアーマークが取り払われることも大きな違いといえる。
快適装備も、JBLのプレミアムオーディオや調光パノラマルーフなどハリアーの世界観に重要なアイテムが、そのまま採用されている。
新型ヴェンザ注目の価格&グレードは?
日本仕様同様に、新型ヴェンザは3グレードを設定。その装備内容のレベルも近いようだ。
「Z」に相当する最上級グレード「リミテッド」は、3万9800ドル(約422万円)、「G」に相当する「XLE」が、3万6000ドル(※約382万円)、「S」に相当する「LE」が、3万2470ドル(※約345万円)となる。(※1ドル=106.1円換算)
ここに輸送費などが追加され、装備内容もハリアーと一部異なるが、意外と抑えてきたなというのが、本音だ。
日本的価値でSUVの本場、米国に勝負
ハリアーに北米仕様が存在することを、サイズアップなどの日本軽視に繋がっているのではないかと見方もあるだろう。
ただ、トヨタ関係者は、「ハリアーは、高級クロスオーバーの先駆者であり、日本的価値観を持つクルマ。その強みを活かし、北米でのトヨタ販売の強化を目指す。決して、北米向けを意識してハリアーを開発していない」と断言する。
また、ベースを共有するRAV4はコンパクトSUVに分類されるが、ヴェンザは全長が少し長いため、ミッドサイズSUVに収まる。
トヨタのミッドサイズSUVは、オフロード指向が強いモデルが中心で、都市型SUVは存在しない。
そこで街中での取り回しに優れ、高級車指向の作り込みのハリアーが、近年のミッドサイズ以上で高まる都市型SUVの人気に応えることができると判断したようだ。
ハリアーの北米進出は、日本が育んだ高級SUVの価値で、レクサスRXとは異なるアプローチで問うことが狙いだ。
しかもヴェンザは、ハリアーと同じ日本の高岡工場で生産され、北米に出荷される。価値観だけでなく、生まれにもMade in Japanなのだ。
今やMade in Japanと称賛された大量生産の工業製品も少なくなっている。世界に日本のプロダクトの価値を認めさせるためにも、ヴェンザとして北米に挑む新型ハリアーを応援したいと思う。その発売は、2020年9月の予定だ。
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