堅調に売れているのに、自動車雑誌やウェブサイトに取り上げられないクルマがある。理由は話題性が乏しいからだ。
デザイン、走行性能、機能や装備に特徴のあるクルマは、読者諸兄の関心も高いから積極的に取り上げるが、そうでない車種は発売から時間を経過すると扱いにくくなる。
ただしこの中には優れた商品も多い。いろいろな機能が平均して優れ、個性は乏しくても飽きずに長く使えるからだ。
例えばデザインに個性を持たせると、話題性が高まる半面、後方視界や取りまわし性が悪化したりする。機能が平均的に優れたクルマには偏りがなく、だからこそ話題にならなくても売れ行きは堅調だ。
クルマを選ぶ時は、雑誌やウェブサイトを参考にすることが多いが、これらの平凡な良いクルマは見落とされやすい。そこで改めて取り上げる。
文:渡辺陽一郎 写真:池之平昌信、TOYOTA、SUZUKI、HONDA
■トヨタ・ヴィッツ 2017年8月の月販台数 5380台
まずはヴィッツ。発売から7年近くを経過するが、今でもトヨタのコンパクトカーでは中心的な存在だ。
1.3Fは1000kgの軽いボディと1.3Lエンジンの組み合わせで加速力に余裕があり、JC08モード燃費は25km/Lに達する。収納設備も豊富だ。
ライバル車のフィットに比べると後席の居住性、積載性、安全装備は見劣りするが、走りと低燃費では注目される。チューニングされたGRシリーズの選択肢が豊富なことも、クルマ好きのユーザーには魅力だろう。
■トヨタ・パッソ 2017年8月の月販台数 3236台
同じトヨタのコンパクトカーでは、パッソも話題になりにくいが、取りまわし性が抜群で売れ行きも堅調だ。
全長は3650mm、全幅は1665mmだから小型車の中でも最小サイズになり、最小回転半径は4.6mに収まるから軽自動車と同等になる。
しかもサイドウインドーの下端を低めに抑えた水平基調のボディは、前後左右ともに視界が良い。「日本で一番車庫入れのしやすい小型車」となった。
先代型に比べるとホイールベース(前輪と後輪の間隔)を拡大して後席の足元空間を75mm広げたから、全長が短い割に4名で乗車しても窮屈ではない。短距離移動が中心ならばファミリーカーとしても使える。
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