トヨタS-FR開発中止!?!? 新たなスポーツモデル開発計画をキャッチ!!

■かたちを変えても志は受け継がれる

 S-FRが需要の間口が狭いクルマだったことは確かだ。低価格のコンパクトFRスポーツはクルマ好きにとって最高だが、実質2シーターの小型クーペではやはり台数を稼げない。残念だが、現実的な判断をすれば、やはり無理があったかもしれない。

 しかし、トヨタとしては「若年層にアピールできるスポーツモデル」というコンセプト自体を諦めたわけではない。

 そこでS-FRの代わりに出てきたのがコンパクトサイズの1.6Lターボ4WDスポーツ。その開発がS-FRと入れ替わるようにスタートしたという。

「小型FR車」の新規開発プロジェクトは凍結されたが、代わりにスタートしたのはヴィッツサイズの4WDターボ車界初
「小型FR車」の新規開発プロジェクトは凍結されたが、代わりにスタートしたのはヴィッツサイズの4WDターボ車界初

 驚くべきは、この1.6Lエンジンが3気筒ということ。ダウンサイズが進む近年、欧州で3気筒エンジンはめずらしくないが、それでも1.0~1.5Lまでが主流で、1.6L以上は4気筒にするのが普通。

 トヨタはこの新開発エンジンで、その常識を打ち破ろうとしている。

 このクルマの開発を主導するのはGAZOO Racingカンパニー、GR開発統括部。ミスター86で有名な多田哲哉氏が率いる組織で、その部下にあたる森和生氏が開発責任者になるといわれている。森氏ももちろんS-FRの開発に携わっていた人物。

 リベンジ、というわけでもないだろうが、パッケージは変わっても「若者にアピールするスポーツモデルを作る」という目標は変わらない。

 では、この3気筒1.6L直噴ターボ、4WDというユニットはどのクルマに積まれ、いつ頃登場するのか? ずばり、次期ヴィッツに搭載され、2020年の市販化を目指している。

 次期ヴィッツは世界共通の車名「ヤリス」に変わることが決まっていて、ヤリス4WDターボとして登場。もちろん、そのクルマがWRCマシンのベースモデルとなる。

■ターゲットはBMW、WRCからの技術フィードバックも

 現在のGRE(グローバルレースエンジン)は1.6L直噴ターボで「4気筒」という規定があるなかで、なぜ3気筒を選んだのかは不明だが、将来的な規定の変更を睨んでのものかもしれない。

 出力、トルクなどの情報は入っていないが、ひとつ指標となるエンジンがある。それはBMWの3気筒1.5L直噴ターボだ。

 BMW1、2、3シリーズやMINIなどに搭載されている新世代のロングストローク型エンジンで、3気筒とは思えない滑らかなフィールが魅力のユニット。BMW118iでは136ps/22.4kgmを表示しており、JC08モード燃費は18.1km/Lとなっている。

 このエンジンは118iという車名のとおり、4気筒、1.8Lのリプレイスになるダウンサイズユニットで、スポーツ性よりもエコ性能を重視したタイプ。

 しかし、同じ3気筒1.5Lでも、BMW i8に積まれているB38K15A型は231ps/32.6kgmのスペックなのだ。

 トヨタが目指す3気筒1.6L直噴ターボのスペックは、当然このあたりだろう。BMWよりも100cc大きいということもあり、250ps/35.0kgm以上も充分に可能。燃費性能とのバランスも取れる範囲となる。

 4WDシステムはまったく新しいものが採用されそうだ。もちろん、現在のヤリスWRCからの技術的なフィードバックを得たものとなる。

■欧州でのさらなる拡販を狙って、オーリスにも展開

 また、このシステムを次期オーリスに搭載することも決まっている。

 こちらはVWゴルフRやルノールーテシアR.S.、シビックタイプRなどと競合するもので、これらのクルマと同等の性能をはるかにリーズナブルな価格で提供するのが目標だ。

技術的にはワンサイズ上のクラスにも対応可能。欧州で人気を博しているVWゴルフRやルノールーテシアR.S.、日本車だとスバルのWRX STIがライバルとなってくる
技術的にはワンサイズ上のクラスにも対応可能。欧州で人気を博しているVWゴルフRやルノールーテシアR.S.、日本車だとスバルのWRX STIがライバルとなってくる

 トヨタはGRMN、GR、GRスポーツの新しいGRシリーズを立ち上げたばかりだが、この1.6Lターボ4WDスポーツはそうしたスペシャルモデルではなく、量産カタログモデル。

 特に次期ヴィッツ(ヤリス)はできるだけ価格を抑え、若者にも手が届くスポーツ車にするのが目標。S-FRは幻に終わってしまったが、その志はかたちを変えて、受け継がれるというわけだ。

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