バランスを重視したスペック
現時点では、エクステリアデザインのみが明かされるメガーヌeヴィジョンだが、一部のスペックは公表済みだ。
パワーユニットとなるモーターは、最高出力160kW(217HP)、最大トルク300Nmを発揮。駆動方式は前輪駆動となり、60kWhの駆動バッテリーを搭載する。このモーター性能は、アリアの前輪駆動車仕様と同じだが、バッテリー容量を5kWhもダウンサイズしている。しかし、これは一概にデメリットともいえない。
日産アリアの車重は、最小で1900kgと公表されているが、ルノーメガーヌeヴィジョンは、1650kgに留められているからだ。250kgの差は、加速性能や航続距離にも違いを与えるだろう。軽さの拘りは、クーペルックがイメージさせる軽快さとも重なる。
EVに重要となる充電システムは、最大130kWの急速充電と最大22kWの普通充電に対応する。なお、航続距離や充電時間などについては明かされていない。
加速するルノーの電動化
ルノーと聞いても、EVのイメージは薄いかもしれないが、2005年にEVシティコミューターのコンセプト「ゾエ シティカー コンセプト」の発表。
2012年には、コンパクトEVの「ゾエ」を発売して以来、今日まで8車種、累計35万台のEVを送り出してきた。その次なるステージが、「メガーヌeヴィジョン」で示されたわけだ。
ルノーは、欧州で2050年までにCO2の影響をゼロにすると明言しており、2030年の段階でも、2010年と比較し、CO2排出量を50%削減することを目指している。
そのため、欧州では主要モデルに、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車を展開。2022年までにルノーの全ての新型車にEVもしくはハイブリッド車(プラグインを含む)を設定し、5年内に電動車の販売比率が50%になると予測する。
日本でも菅総理が「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロを目指す」と宣言したこともあり、電動車のニーズがより高まることが予測される。
現在、日本のルノーラインアップは、ガソリン車のみだが、本国のルノーラインアップの電動化が進む流れも考慮すれば、日本にもいずれ導入されると考えるのが自然だろう。
しかし、日本のルノーとしも、電動化への対応は、そうのんびりと構えていられないのも現実だ。
同じフランス車であるプジョーやDSが日本でもコンパクトなEVを既に投入済みで、さらにシトロエンでも、2021年に導入が予想されるクロスオーバー「シトロエンC4」にEVの「シトロエンe-C4」が含まれる可能性が高い。
もちろん、ニーズという意味では、まずハイブリッド車などの電動車からの導入がクレバーな選択だが、ブランド価値を高める意味では、EVの存在意義は小さくない。この辺の判断は、他のフランス車のEVニーズが左右しそうだ。
ただ電動車社会と全体がシフトする中で、輸入車ファンにも電動車の検討を始める人は拡大していくはずで、メガーヌeヴィジョンへの関心は決して低くないはずだ。
2021年の欧州発売を明言するだけに、来年の早いタイミングで市販モデルのアンベールが行われる可能性も十分ある。今は続報の到着を楽しみに待つことにしよう。
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