世界で最後まで内燃機を作り続けるのはポルシェだけかもしれない……
世界で最後まで内燃機を作り続けるのはうちだろう。冗談か本気か、方やタイカンのようなBEVを生み出しながらも、ポルシェのエンジニアはそんなことを口にしてもいる。
現にスポーツカーラインでは最新設計の4Lフラット6ユニットが2019年に発表されたばかりだ。ライトサイジングターボではなく自然吸気ユニットを再び採用した理由は、欧州WLTPモードでは高負荷領域が広く、過給器ユニットでは実燃費が伸びないからだという。ちなみにGT3のそれとは別物ながら、ボクスター&ケイマンに搭載されるこちらも8000rpm前後までスカッと回り切る逸品だ。
では果たしてポルシェは電動化に消極的なのかといえばそんなことはない。911に関していえば、2011年に997型から991型へとアーキテクチャーが刷新された際に、ホイールベースが100mm伸ばされているが、その理由を問うた際にポルシェのエンジニアは、スタビリティの向上とともに将来のためのスペースであることを明言していた。
すなわち、エンジンとトランスミッションの間にモーターを挟み込むスペースとみるのが正しいだろう。ちなみにこの時期、ポルシェは前輪2つのモータージェネレーターで回生エネルギーを電気エネルギーへと変え、フライホイールバッテリーへと貯蔵するハイブリッドシステムを搭載した911GT3Rハイブリッドをレースフィールドへと投入している。
そこから10年近い時が経つわけで、911のハイブリッド化の時期や方式については様々な憶測が飛び交っているが、抱えるCAFEの課題なども鑑みればこの1〜2年の間に動きがあってもおかしくはない。
方式的には919ハイブリッドの熱エネルギー回生が採用されるという噂もあるが、額面上のCO2削減には最も効果的で、かつパワーサプリメントとしても充分に機能するPHEV的なところが採用される可能性が高いと個人的には思う。そもそも実用性に充分配慮される911がゆえ、パッケージ的には従来の後席部にバッテリーを収めることも可能だ。
あるいは、従来トランクルームとなる前軸部にモーターを置いて左右輪ベクタリング付きの4WDを実現するというプランもゼロではないだろう。これも噂の範疇だが、彼らのR&Dの拠点に発売早々の現行NSXが2台納車されたという話もある。
ともあれひとつ言えるのは、環境性能の向上のみのためにポルシェが電動化を図ることはないということだ。必ずやその付加物は速さへとつながるものになるだろう、それが彼らのクルマ作りの矜持である。
■ポルシェ 911 GT3 主要諸元
●全長×全幅×全高:4573×1852×1279mm
●ホイールベース:2450mm
●車両重量:1418kg(6速MT)、1435kg(7速PDK)
●エンジン種類:水平対向6気筒DOHC
●排気量:3996cc
●最高出力:510ps/8400rpm
●最大トルク:470Nm/6100rpm
●トランスミッション:6速MT、7速PDK
●駆動方式:RR
●タイヤサイズ:前255/35ZR20、後315/30ZR21
●最高速度:320km/h(6速MT)、318km/h(7速PDK)
●0→100km/h加速:3.9秒(6速MT)、3.4秒(7速PDK)
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