新型アリアは売れそうか? お薦めグレードを徹底分析!

■1回の満充電で450km~610km!

アリア・リミテッド専用色 バーガンディー/ミッドナイトブラック
アリア・リミテッド専用色 バーガンディー/ミッドナイトブラック

 1回の充電で走行可能な距離(WLTCモード)は、2WDのB6が450km、2WDのB9はリチウムイオン電池に91kWhの余裕があるから610kmと長い。e-4ORCEはB6が430km、B9は580kmだ。リチウムイオン電池容量が同じであれば、2WDは4WDよりも長い距離を走行できる。

 予約注文限定車になるアリア・リミテッドシリーズの価格は以下の通りだ。


■2WD
・B6リミテッド(66kWh)      660万円
・B9リミテッド(91kWh)      740万800円


■4WD
・B6e-4ORCEリミテッド(66kWh)720万600円
・B9e-4ORCEリミテッド(91kWh)790万200円

 リミテッドは限定車だから装備も充実している。カタロググレードでは、ハンズオフによる高度な運転支援機能のプロパイロット2.0を標準装着するのは最上級のB6e-4ORCEのみだが、リミテッドでは全車に標準装着した。

 同様にプロパイロットリモートパーキング、ヘッドアップディスプレイ、前席ベンチレーション機能を備えたナッパ・レザーシートなども、リミテッドシリーズでは全車に標準装着されている。

 それでも装備の違いはあり、車速感応式オート集中ドアロック/衝撃感知式ドアロック解除システムは、B6リミテッドだけが装着していない。安全装備なので、ほかの3グレードと同様、B6リミテッドにも標準装着すべきだ。

リミテッド専用のナッパレザーシート(ブルーグレー)
リミテッド専用のナッパレザーシート(ブルーグレー)
電動パノラミックガラスルーフや運転支援システム「プロパイロット2.0」などの先進装備をアリア・リミテッド全車に標準装備
電動パノラミックガラスルーフや運転支援システム「プロパイロット2.0」などの先進装備をアリア・リミテッド全車に標準装備
アリアリミテッド 価格表
アリアリミテッド 価格表

  アルミホイールとタイヤのサイズは、B9e-4ORCEリミテッドのみが20インチ(255/45R20)で、ほかの3グレードは19インチ(235/55R19)になる。

 このように装備が異なるため、2WDとe-4ORCEの価格差は、B6同士で比べると60万600円だが、B9同士なら49万9400円に縮まる。B6の2WDには車速感応式オート集中ドアロック/衝撃感知式ドアロック解除システムが装着されないから価格が下がり、B9同士の比較に比べて価格差が広がった。

 それにしても2WDと4WDの価格差が約50万円に達するのは、一般的には開きが大きい。アリアのe-4ORCEは、後輪に強力なモーターを搭載して加速性能を向上させ、2WDが採用しないアクティブサウンドコントロールなども装着したから、価格がさらに高くなった。

 またB6(66kWh)とB9(91kWh)の価格差は、2WDが80万800円、 e-4ORCEは69万9600円だ。これも前述の車速感応式オート集中ドアロック/衝撃感知式ドアロック解除システムを2WD・B6が装着しないので、2WDの価格差が広がった。

 それでも66kWhと91kWhの差(25kWh)の価格差は、少なくとも約70万円に達する。ちなみにリーフでは、40kWhと62kWhの価格を同等の装備を採用したアーバンクロム同士で比べると、22kWの違いで62kWhは約59万円高い。アクアの場合は若干価格差が大きい。

■アリアは売れそうか? お薦めグレードは?

12.3インチ大型モニターを2つ並べた統合型インターフェースディスプレイ。空調等の操作アイコンはシステム始動時に浮かび上がる
12.3インチ大型モニターを2つ並べた統合型インターフェースディスプレイ。空調等の操作アイコンはシステム始動時に浮かび上がる
日産アリアのグレード展開
日産アリアのグレード展開

 このように見ると、機能と価格のバランスで最も割安なのは、2WDで66kWhのB6リミテッド(660万円)だ。これを4WD化して、リチウムイオン電池も91kWhに拡大すると、価格が約130万円上乗せされてB9e-4ORCEリミテッド(790万200円)になる。

 それでもアリアのハイパワーな電気自動車の魅力を重視するユーザーは、価格差が約130万円であれば、B9e-4ORCEリミテッドがむしろ買い得と受け取るだろう。

 既存の電気自動車の登録台数を見ると、堅調に売れているのは実質的にリーフのみだ。2020年度(2020年4月から2021年3月)には、コロナ禍の中でも1か月平均で約800台を登録した。マツダMX-30・EVモデルは、2021年1月に発売され、その後の登録台数は今のところ1か月平均で50台程度に留まる。

 日本では総世帯数の約40%がマンションなどの集合住宅に住み、電気自動車の充電設備を設置しにくい。販売店や高速道路のサービスエリアにおける充電は、基本的に急速充電器を使うから、電池の寿命や耐久性を考えると自宅の普通充電も併用したい。そうなると集合住宅では電気自動車が敬遠される。

 一方、自宅に充電設備を設置しやすい一戸建ての多い地域では、公共交通機関を利用しにくい事情がある。1世帯で複数の車両を所有するから、税額や車両価格の安い軽自動車が普及している。

 そうなるとアリアのような高価格車は、マンションに住んで1世帯に1台の割合でクルマを所有するユーザーに人気が高く、電気自動車とは親和性が低い。したがって普及も進まない。

 ところがアリアの開発者は次のように述べた。「アリアでは、従来の電気自動車に比べると、リチウムイオン電池の温度管理を入念に行う。そのために都市部のお客様が販売店の急速充電器を頻繁に利用されても、従来の電気自動車に比べて劣化が生じにくい」とコメント。

次ページは : ■「EVは売れない」というジンクスを打ち破ることができるか?

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