2021年9月にトヨタから登場したカローラクロス。コンパクトよりゆとりがあり、ミッドサイズよりちょっと小さいという、いいとこ取りのジャストサイズSUVだ。
ヤリスクロスと比較して各部にゆとりがあり、ゆったり乗れるカローラクロスをライバルと比較しながらチェック!!
※本稿は2021年10月のものです。
文/鈴木直也、渡辺陽一郎 写真/ベストカー編集部 ほか 撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2021年11月10日号
■【鈴木直也氏の評価】売れ筋ど真ん中をしっかり作ってきた上質CセグSUV
新しいカローラクロス、みなさん「売れそうだねぇ」と言うけどぼくも同感。試乗してもその感が強い。
日本で使うにはちょっとボディサイズが大きめだけど、それはSUVということで許されるという計算。
上と横にボディが広がった結果、インテリアスペースや使い勝手は弟分のヤリスクロスはもちろん、GA-Cプラットフォームを共用する姉妹車C-HRよりずっと上質&ひろびろ。
ポストミニバン時代のファミリーカーとして、これぞメインストリームという安心感がある。
コスパも抜群。最廉価版の199万円から、最上級モデルのハイブリッドZでもFFなら299万円。
ヴェゼルやキックスなどのライバルはもちろん、ヤリスクロスと比べてもお買い得感が強い。
カローラクロスはタイで発表されたことでもわかるとおり、新興国市場をかなり意識している。
そのため、コスト抑制にはかなり気を遣ったようで、それがお買い得価格に貢献していると思われる。
ただし、クルマとしての基本性能に関してコストダウンのネガティブな部分はほとんど感じられず、むしろ『優等生』と言っていい仕上がりだ。
今回試乗したのはともにハイブリッドモデルで、ZのFFとSのE-Fourだったが、いつもどおり優秀な燃費性能に加えて、静粛性の高さと乗り心地の質感に感心した。
カローラクロスではFFモデルのリアサスにGA-C初のトーションビームを採用しているが、その目的の半分はラゲッジスペース拡大、半分はコストダウンというイメージ。決して贅沢三昧に造ったクルマではない。
しかしながら、丁寧に仕立てられた遮音材でロードノイズは効果的に遮断されているし、目地越えショックをしなやかにいなすサスペンションの動きもなかなか。
いわゆる「走りの質感」が上手に演出されているので安っぽくない。
細かいことを言うと、リアがウィッシュボーンサスのS E-Fourのほうが、乗り心地のしなやかさがいち枚上手で「こりゃグローバル基準でもトップレベルだね」と感じたが、80kg重い車重と当たりのソフトな17インチタイヤがいいほうに作用した感じ。
ちょっと難しいかもしれないけど、廉価版のFFモデルでこのテイストが表現できたら絶賛ですよ。
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