三菱逆襲の行方を左右!! 新型アウトランダーPHEVの超進化と復活への課題


先代モデルよりもパワフルかつ長距離移動も快適に

フロントモーターが82馬力から116馬力に。リアモーターは95馬力から136馬力に向上

 次は運転感覚だ。アウトランダーのプラグインハイブリッドシステムは、高速道路の巡航時を除くと、駆動は前後に搭載されたモーターが行う。そのために加速は滑らかで、モーターは反応が素早いから、アクセル操作に対して速度を忠実に増減させる。

 エンジンは発電のために使われるから、必ずしも回転数をアクセル操作や速度の増減に合わせる必要はないが、ズレが生じるとドライバーが違和感を抱く。そこでアウトランダーでは、アクセルペダルを深く踏むと、加速力の向上に合わせてエンジン回転も高まる設定にした。その効果により自然な感覚で運転できる。

 動力性能をガソリンのノーマルエンジン車に置き換えると、排気量は2.8~3Lに匹敵する印象だ。先代型よりもパワフルで、高速道路や峠道を使った長距離の移動も快適に楽しめる。

 乗り心地にも注目したい。サスペンションが柔軟に伸縮して、SUVらしいリラックスできる乗車感覚を味わえる。

 新型アウトランダーの走りで、特に注目されるのが操舵に対する反応だ。車両重量が2トンを超えて、全高も1745mm(GとP)に達する高重心のSUVなのに、車両の動きに鈍さがない。よく曲がり、峠道を走っても旋回軌跡を拡大させにくい。

 そのかわりカーブを積極的に曲がると、ボディの傾き方が拡大する。このときに危険を避けるためにアクセルペダルを戻したりすると、後輪の横滑りが大きめに生じて、横滑り/横転防止装置が強く作動しやすい面もある。全般的にドライバーの運転技量を高く見積ったセッティングだ。

 もっとも、そこがアウトランダーらしさともいえるだろう。今のクルマは後輪の接地性を重視する安定指向の設定が多い。アウトランダーも先代型は同様の性格だったが、新型は十分な安定性を確保した上で、初代アウトランダーに見られた機敏に曲がる性格も併せ持つ。この運転感覚は、かつてランサーエボリューションなどを用意した三菱のブランドイメージにも合う。三菱の本質を見直した原点回帰ともいえる運転感覚だ。

 新型アウトランダーは、プラグインハイブリッドの機能も先進的だ。駆動用リチウムイオン電池の総電力量は20kWhと大きく、WLTCモードにより、充電された電気を使って85kmを走行できる(GとP)。

 ちなみにRAV4・PHVは、総電力量が18.1kWhで、95kmを走行できる。これに比べると新型アウトランダーの距離は少し短いが、85kmを走れると、買い物などの日常的な短距離移動ではエンジンを作動させる必要はない。午前中の外出から戻って充電すれば、午後もモーター駆動だけで済む。充電の所要時間は、リチウムイオン電池を使い切った状態でも、家庭用の200V/15Aの充電によって約7時間半だ。一晩で充電は完了する。

 装備では安全面を充実させた。衝突被害軽減ブレーキ、ペダルの踏み間違いによる誤発進を抑制する機能、ドライバーの死角に入る後方の並走車両を検知して知らせる機能などは全グレードに標準装着される。車間距離を自動調節できる運転支援機能も全車に装着した。

オススメグレードは「G」!! 今後の三菱の課題は?

 グレードは、ベーシックなM(5人乗りのみ)、中級のG(5人乗りと7人乗り)、最上級のPという構成だ。装備と価格のバランスを見ると、上級グレードほど、装備が充実する割に価格の上乗せが少ない。つまり買い得になっていく。

 具体的には、GはMに通信機能や20インチアルミホイールなど40万円相当の装備を加えながら、価格の上乗せは28万3800円に抑えた。PはGに本革シート、BOSEプレミアムサウンドシステム、ヘッドアップディスプレイなど50万円相当の装備を加えて、価格上昇は32万4500円だ。

 この点を踏まえると、最も推奨度の高いグレードはG(5人乗り:490万4900円・7人乗り:499万6200円)になる。7人乗りの価格は5人乗りに比べて9万1300円高いが、妥当な価格差だ。

 注意したいのは、Gに本革シートなどのセットオプション(25万3000円)と、BOSEプレミアムサウンドシステム(10万4500円)やヘッドアップディスプレイ(7万7000円)を加える時だ。この時は必ずPに上級化する。なぜならオプション価格の合計が33万円以上になり、PとGの価格差(32万4500円)を飛び越えるからだ。

 Pの車両価格が割安で、Gに設定されるオプション価格は割高だから、Gのオプション装着を増やすと同じ装備を標準装着するPの価格を上まわってしまう。このような価格設定は良心的とはいえず、選ぶ時には充分な注意が必要だ。

 それでも新型アウトランダーは機能が全般的に優れ、堅調に売られるだろう。販売店によると納期は約3か月だから、最近の新型車では短い部類に入る。

 今後の三菱の課題は、需要の多い200~300万円の価格帯を充実させることだ。今の三菱の売れ筋車種は、小型/普通車は新型アウトランダー(462万1100円以上)とデリカD:5(391万3800円以上)になる。そのほかは150~190万円が売れ筋の軽自動車だ。エクリプスクロスの最廉価グレードは253万1000円だが、200~300万円の車種がきわめて少ない。

 そこで新型アウトランダーを堅調に販売しながら、売れ筋カテゴリーとなるコンパクトSUVのRVRをフルモデルチェンジしたり、その後継車種を投入する必要がある。これを成し遂げた時、三菱は本当に復活するわけだ。

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