■美しさと性能を両立させるデザイン
そのデザインは、フェラーリデザインのトップ、フラビオ・マンツォーニの指揮の下、フェラーリスタイリングセンターが手がけたもの。フロントマスクは、ノーズとフロントバンパーの一体感が増し、よりグラマラスなデザインに仕上げられている。
特にユニークなのが、フロントバンパーに設けられたエアインテークで、六角形のパンチングが施されたグリルが美しいサーフェスを構築するなど手の込んだものだ。さらにヘッドライトデザインも専用化され、ボンネットフードのインテークも左右それぞれに配置される。フロントノーズ先端に、立体デザインの羽馬が飾られるのも独自の仕様だ。
最大の魅力は、リアウィンドウを排除したことから生まれた流麗なルーフラインだ。キャビンからカーボンファイバー製のエンジンフードにかけて一体に見せるデザインとすることで、より塊感が増すだけでなく、極限まで空気抵抗を減らしたレーシングマシンのような緊張感も感じさせる。
ルーフパネルが異形デザインとなり、真ん中に六角形柄を取り入れたブラックのラインが加えられる点も、レーシーな雰囲気を引き立ているポイントだ。
もちろん、それらの形状は、視覚的な効果だけでなく、性能面にも忠実に活かされており、すべての冷却性能を満たすだけでなく、空力バランスの変更も実現。リアオーバーハングが延長されたことで、ルーフエリアによるリフトが低減されたため、リアのダウンフォースも増加。そこでリアスポイラーの形状も、よりボディラインと一体感あるデザインのものに仕上げられている。
このようにデザインの細部までチェックしていくと、フロントマスクこそ、F8トリブートとの類似点を見出すことができるが、F8トリブートの特徴的な丸目リヤテールを廃止し、スリットデザインのテールランプに置き換えるなど、ボディデザインのほぼすべてが専用化されており、特別中の特別なモデルとして仕上げられていることがわかる。
インテリアについては、レイアウトや機能などをF8トリブートのデザインを踏襲するため、特に写真としては公開はされていないが、素材やカラーコーデに特徴があるとされる。
その象徴が特別に開発されたレーザー・パンチング加工を施した黒いアルカンターラ素材で、これを全体的に使用されていることが明かされている。このほかにも、ボディに使われた六角形のモチーフをインテリアデザインに取り入れるなど、エクステリア同様に、細部までこだわった作り込みがされている。
■特別中の特別なモデルのオーナーは!?
気になるのはSP48 Unicaだけでなく、そのオーナーの存在だろう。価格については触れられていないが、フェラーリの開発チームが、たった1台のために動くのだから、そのコストが数億円に上ることはいうまでもない。唯一、明かされているのは、オーナーが、フェラーリにとって長年のクライアントであることだ。
これまでにもワンオフのフェラーリは作られているが、そのオーナーのひとりとして知られる有名人が、ミュージシャンのエリック・クラプトンだ。彼は熱心なフェラーリファンであり、コレクターである。そのような人物でなければ、ワンオフのフェラーリを手にすることは難しいだろう。
何しろ、お金だけでなく、多くの時間も必要となるのだから。情報が明かされていない以上、オーナーに迫ることは難しい。熱心なファンやコレクターだからといって、イベントなどで愛車を披露するとはかぎらないからだ。
ただ、明言できるのはその人物は裕福なだけでなく、クラプトン同様に、フェラーリに強い愛情を持っているということだ。それはSP48 Unicaを見れば、誰しもが感じるところではないだろうか。
【画像ギャラリー】世界にたった1台の幻の特別なフェラーリ! SP48 Unica(9枚)画像ギャラリー
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