レクサスのBEV専用モデル「RZ」にFFが追加された。一見地味なニュースだが実態は違う。価格は60万円安いし航続距離も長い。おまけにバッテリーも改良されてるぞ!
文/ベストカーWeb編集部、写真/レクサス
【画像ギャラリー】街乗り中心ならFFで十分。RZ300eは賢い選択じゃない?(16枚)画像ギャラリー■EVで車重は2トン切り!
レクサスの電動SUV「RZ」。従来はAWDモデルである「450e」のみがラインナップされていたが、待望のFWDモデル「300e」が追加された。
もともとRZは、レクサス初のBEV専用モデルとして2022年4月にデビュー。エンジン車に負けない走りの楽しさ備えたSUVとして、独自の個性を主張してきた。
新たに加わった300eだが、ボディサイズなどには変更はない。大きく変わったのはパワーユニットだが、リアモーターをそっくり取り去り、フロントモーターだけの前輪駆動モデルとなった。
「FFじゃ走りの質は下がったんじゃないの?」という人がいるかもしれない。しかし心配は無用。FF化にあたっては4WD同様の走りを実現するべく、リアのサスペンションメンバーを新開発するというこだわりっぷり。このあたりは実際に乗って試してみたいところだ。
さて、孤軍奮闘することになったフロントモーターだが、特段パワーアップなどはされていない。最大出力は150kW(203.9ps)で最大トルクは266Nm(27.1kgm)だ。
こいつがいろいろとよい結果を生んでいる。まずはリアモーターを取り去ったので、車重が軽くなったこと。従来の450eは2100kgあったが、これが1990kgまで軽量化された。バッテリーEVで2トンを切る車重はなかなか貴重といえるだろう。
■RZ全車がバッテリー急速昇温装置を搭載!
もう1点は航続距離が伸びたことだ。
FF化された300eは、AWDの450eとまったく同じ容量のバッテリーを積む。これを2個のモーターじゃなく1個で使うわけだから、消費電力が減り航続距離が伸びるわけだ。具合的にはWLTCモードで599km。これは450eの494kmに対して105kmも長い値だ。
最後に価格。当然300eは450eよりも安い。販売価格は820万円。これはAWDの450eよりも60万円安いプライスとなる。もうひと声いってほしかったという気もするが、内外装がほぼ変わりないからやむを得ないといったところか(※標準のホイール径が450eは20インチ、300eは18インチとなる)。
なお300e登場に伴い、RZ全体の改良がおこなわれたことも注目しておきたい。それが「電池急速昇温システム」の採用だ。
BEVが搭載するリチウムイオン電池は低温にも高温にも弱いのだが(推奨作動温度は0~40℃程度)、特に温度が低いと、内部のリチウムイオンが活性化せず、満充電できなかったり、満充電までに時間がかかったりする。こいつが降雪地など寒い地域では、EVのパフォーマンスを妨げる要因となるのだ。
そこで新型RZは、バッテリーの温度低下を防ぐ仕組みを搭載し、低温に強い充電性能を身に着けたいうわけ。すでにテスラなどもプリコンディショニングという充電前昇温機能を備えているが、これと同じ機能が備わったことは心強い進化だろう。
RZ300eはすでに予約を開始している。レクサスのEVが気になるという人は、ぜひとも触れてほしい1台だ。
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コメント
コメントの使い方このバッテリー温度が低くなり過ぎないようにして性能を保つ機能、ソルテラにも流用してほしいです。
せっかくエンジンや駆動系の制約がないEVなのだから、
モーターを後ろにつけてRWDモデルのほうが高級車としては良さそうな気がするが。
そこはトヨタらしく安定を選んだということでしょうか。
それとも設計的に無理?
海外勢はRRが多いのになんで日本はFFが殆どなんですかね?