新型ヤリス登場でも次期アクアなぜ開発?
そして直近の情報によると「次期アクアの開発は、ヤリスハイブリッドがデビューした後も続けられ、次期型が2021年に登場する」という。
新型ヤリスハイブリッドが登場したのに、次期アクアも投入する一番の理由は、先に述べた通り似通った車でもユーザーによって選び方が異なるからだ。
次期アクアのデザインや機能がヤリスと明確に異なれば、共通のハイブリッドシステムを搭載してボディサイズが似ていても共存可能だ。
カテゴリーが登録台数の多い“コンパクトカー”であることも影響している。セダンやスポーツカーでは、性格の重複する複数の車種をそろえるのは難しいが、膨大に売れるコンパクトカーなら問題はない。ヤリスハイブリッドにアクアを加えることで、売れ行きをさらに伸ばせる。
トヨタの販売網によるところも大きい。トヨタの販売店は全国に4900箇所を展開するため、日産の2100箇所、ホンダの2200箇所に比べると2倍以上だ。
そうなると日産はノート、ホンダはフィットだけで充分でも、トヨタならヤリスハイブリッドとアクアを両方とも販売して売れ行きも増やせる。
新型ヤリスの“路線変更”でアクア存続の必要性高まる
このほかTNGAの考え方に基づく新しいプラットフォームの有効活用もある。
新型ヤリスの開発者は「5ナンバー車に対応できる新しい独自のプラットフォームを開発したからには、採用車種がヤリスのみになることは考えられない。今後はヤリスと同じプラットフォームを使う複数のコンパクトカーが登場する」とコメントした。
また、ヤリスの開発者によると「新型ヤリスは従来のヴィッツに比べて前後席に座る乗員同士の間隔が37mm短く、後席の着座位置は32mm低い」とコメントした。
つまり、後席の足元空間が37mmほど減り、床と座面の間隔も少なくなったから、新型ヤリスの後席はヴィッツよりも腰が落ち込んで膝の持ち上がる窮屈な座り方になる。
これは、ヤリスの性格が後席や荷室も相応に重視する“ファミリー指向”から、前席優先の“パーソナル指向”に変わったことを意味する。
そうなれば今後は、ヴィッツの穴を埋めることも含めて、ファミリー指向のコンパクトカーが開発される。
例えばヤリスと同じエンジンやプラットフォームを使いながら、天井を高くするなど室内を広げた車種だ。
初代ヴィッツをベースにしたファンカーゴのようなクルマかもしれない。ヤリスのエンジンとプラットフォームを使えば、背が高くても、優れた走行安定性と快適な乗り心地を両立できる。
新型アクアはどんな車になるのか
そして次期アクアは、ハイブリッド専用車の位置付けを生かし、5ドアクーペ風のスペシャルティモデルに仕上げる。現行アクアも全高が1500mmを大幅に下まわるスペシャルティ感覚の車種だが、次期型はさらにメリハリを利かせる。
全幅が1700mmを超えて3ナンバー車になる可能性もあるが、軽量化を徹底させて車両重量は1100kg前後だ。
ハイブリッドシステムはヤリスと同じ直列3気筒1.5Lで、空力特性も優れているから、WLTCモード燃費はヤリス「ハイブリッド X」の36km/Lを上まわって40km/Lに到達する可能性もある。
これはアクアの正常進化モデルともいえるだろう。ヤリスハイブリッドは環境性能の優れたコンパクトカー、次期アクアは共通のシステムを搭載するプレミアム感覚のハイブリッドスペシャルティカーになる。
トヨタは1997年に、世界初の量産ハイブリッド乗用車として初代プリウスを発売し、2019年には約192万台のハイブリッド(プラグインを含む)を販売した。次期アクアは、トヨタのハイブリッドを代表するコンパクト部門のイメージリーダーカーに位置付けられるわけだ。
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