自動運転のイマを激白! アタマのいいクルマとは!? 欧州・米国・日本で実はかなり違うACC思想!

欧州が強いならアメリカは? 話題のテスラはどうなの?

モデル3の場合、前面・背面・左右両側にカメラがある。このカメラがAutopilotを支える
モデル3の場合、前面・背面・左右両側にカメラがある。このカメラがAutopilotを支える

 一方、アメリカ勢ではテスラの「Autopilot」が際立つ。テスラはレーダーに頼らず、カメラのみで高精度な距離制御を行うことを特徴とする。ディープラーニングによって周囲の車両や歩行者の動きを予測し、割り込みの可能性を事前に判断して減速を準備する。

 さらに、ソフトウェア更新による制御アルゴリズムの進化が速く、クラウド上で学習された膨大な実走行データを反映して常に改善が行われている。自動運転機能の一環としてACCが組み込まれている点で他社を先んじていると言えるのだ。

 「進化し続けるACC」という点で、テスラは従来メーカーとは異なるアプローチを取っているというわけだ。

 しかし、その一方で、ドライバーの監視や操作理解を前提としないまま自動運転的に利用されるリスクも存在し、制御の完成度と運用の安全性は別問題として捉える必要がある。

じゃあ国産はどうよ?

2025年9月には日産 アリアに搭載された次世代プロパイロットの試乗が行われた。従来のACCより都心の渋滞や交通量の多い道路を考慮している
2025年9月には日産 アリアに搭載された次世代プロパイロットの試乗が行われた。従来のACCより都心の渋滞や交通量の多い道路を考慮している

 国産メーカーのACCは、ここ数年で大きく進化したが、依然として制御の滑らかさや予測性の面では欧州勢に及ばない。トヨタの「レーダークルーズコントロール」の認識精度は優れるが、前走車が離れた際に急激な加速を行って元の速度に戻そうとする傾向があり、乗員に違和感を与えることがある。

 日産の「ProPILOT(プロパイロット)」は低速追従時の滑らかさに優れるが、前方の車両が割り込む際の減速タイミングがやや遅れる。スバルの「アイサイト」はステレオカメラによる立体認識能力が高く、歩行者や二輪車の検知にも対応している点で安全性は高いものの、加減速制御は安全優先のため保守的で、動的な予測は依然と乏しい。

 ホンダのACCも同様で、全体的に滑らかさは改善されたが、欧州車に見られるような「先読みの知能」はまだ限定的である。これらの違いは、ハードウェア性能だけでなく制御思想の差によるものであり、欧州ではアウトバーンを想定した高速域での安定性が求められるのに対し、日本では渋滞環境や低速域での実用性を重視してきた結果でもある。

結局理想はなにか!?

2025年登場新型フォレスターにはアイサイトXが搭載された。スバルのアイサイトは、その起源を1980年代にまで遡れるのだからおどろき
2025年登場新型フォレスターにはアイサイトXが搭載された。スバルのアイサイトは、その起源を1980年代にまで遡れるのだからおどろき

 理想的なACCとは、単に速度と距離を維持する機能ではなく、ドライバーの意図を先読みして協調的に動作する「知覚アシスト」であるべきだ。そのためには、認知・判断・制御の各段階で高い精度と一貫性が求められる。

 割り込みを予測して事前に減速する、料金所やカーブ手前で緩やかに速度を落とす、前方がクリアになった際に過度な加速を避けて自然に巡航速度へ復帰する、といった一連の挙動が理想である。最大加速Gや減速Gを0.1〜0.2G程度に抑え、乗員が意識せずとも快適に感じられるよう制御されているかどうかが、優れたACCを見分ける基準となる。

 結論として、現時点で総合的に最も優秀と評価できるのはメルセデス・ベンツおよびポルシェのACCである。両者はセンサー構成、制御精度、加減速の質感、そして安心感とキャリブレーションの広範囲において高水準を維持しており、テスラがこれに続く。

 国産勢ではスバルのアイサイトが安全性面で突出しているが、運転支援としての「協調制御」と全天候性という観点では今後の進化が求められる段階である。ACCはもはや単なる運転支援機構ではなく、メーカーの哲学と技術力を象徴する「走る知能」として位置づけられている。その制御の緻密さと自然さが完璧に構築されたその先に自動運転の現実性が見えてくることに繋がるのだ。

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