■操舵支援システム
レーンキープアシストシステム(LKAS)などと呼ばれる操舵支援システムはカメラで道路の白線などを認識し、その名の通りハンドル操作を支援してくれるものである。
こちらもACCと同じように3タイプに分かれる。
[1] 車線逸脱警報のみ
これは操舵支援には入らないと考えるべきなのかもしれないが、「車線を逸脱しそうになった、逸脱した」という場合にメーター内の表示とアラームで警告のみしてくれる。
[2] 車線逸脱抑制
[1]の機能に加え「車線を逸脱しそうになった、逸脱した」際に、ハンドル操作やクルマによっては左右の片側に弱いブレーキをかけヨー(横方向の動き)を出すことで、元の車線に戻そうとしてくれるもので、LDA(レーンデパーチャーアシスト)などと呼ばれる
[3] レーンキープアシストシステム
オンにすると車線の中央をキープしようとしながら走行してくれるもので、スピードがおおよそ60km/h以上にならないと作動しないものが多い、しかしここ2、3年は渋滞中を中心に先行車の走った軌跡をカメラで読み取り、その軌跡を追従してくれるLTA(レーントレーシングアシスト)などと呼ばれるものを増えている。
操舵支援システムが期待通りに作動しないケースとしては以下が挙げられる。
●天候による条件
これはACCと同様だ。
●道路環境による条件
「台風などの後に白線が折れた木などで隠れていた」、「白線が泥などで汚れていた」、「白線が積雪で見えない」、「白線のペイントが薄くなっていた」といった場合には、カメラが白線を把握できず操舵支援システムも機能しないことが多々ある。
●曲率の小さいコーナー
クルマによる違いもあるが、レーンキープアシストシステムは自動車専用道路に代表される曲率の大きいコーナーにしか対応しておらず、一般道の曲率の小さいコーナーでは操舵支援システムをオンにしていてもまず曲がり切れない。
●緊急回避はしてくれない
なかにはレクサスLSのように、歩行者の飛び出しなどに対し相当の緊急回避を行ってくれるクルマもあるが、ほとんどのクルマは緊急回避には対応してくれず、緊急回避する時にハンドルを切るための支援をしてくれれば御の字と思ってほしい。
■斜め後方の監視システム
リアバンパーに組み込まれたレーダーからの情報をもとにドアミラーの死角になりやすい斜め後方の死角を監視するBSM(ブラインドスポットモニタリング)などと呼ばれるシステムは、進路変更時の接触事故の防止など数ある安全装備のなかでも「あってよかった」と感じる頻度が一番多い、非常にありがたい装備である。
しかし、斜め後方の監視システムも自車のスピードが遅い時など機能しないことも多々あるので、できれば目視も行いながらのドライバーによる後方確認も必須だ。
■ハイビームを積極的に使おうとするヘッドライト
「対向車や歩行者がいなければ、夜間のヘッドライトはより遠くまで見通せるハイビームを積極的に使いたい」という狙いを持つのが、オートマチックハイビーム(AHB)やアダプティブハイビームだ。
この種のシステムは運転支援システムの情報源にもなっているカメラからの情報によりオンにすると単順にロービームとハイビームを切り替えるのが前者、細かい切り替えが可能というLEDヘッドライトの特徴を生かしてハイビームを最大限使おうとするのが後者である。
システムの狙いはいいのだが、ロービームにするタイミングが遅く対向車や歩行者を不快にさせてしまうというものも多々あり、最終的なヘッドライトのロービームとハイビームの切り替えは自分の判断も交えながら行いたい。
今回挙げた運転支援システムは、付いているなら状況を見ながら積極的に使うといいと思うが、あくまでも「支援」である。そのため「最終的な判断や責任は自分にある」ということをいつも頭におき、運転支援システムをオンにしていても前方を見る、ペダルは操作できるようにする、ハンドルは保持するといった運転の構えを常にしておくことが重要だ。
同時に乗ったクルマに運転支援システムが着いているなら「それがどんなものか」を把握するというのも必要なので、この点については一度取扱説明書を熟読することを強く勧めたい。
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