■日産 5代目S13型シルビア(片岡英明)
操って愉しいのは後輪駆動のFRスポーツだ。そのなかでも、ある程度の台数が残っているクルマでないとレストアしてもらうのは難しい。
真っ先に思いつくのは1988年5月に登場した5代目のS13型シルビアだ。スタイリッシュなデザインだからデートカーとしても人気が高く、女性やオジさんたちも注目していた。
パワーユニットは前期型と後期型で異なり、後期型に積まれたのは高性能な2L直列4気筒DOHCエンジンだ。
インタークーラー付きターボがSR20DET型、NAエンジンはSR20DE型を搭載する。どうせなら高性能エンジンを積む後期モデルをレストアできるようにしてもらいたい。今は改造申請も簡単だからエンジンをSR20系に載せ替えるという手もありだ。
Sパッケージには量産車としては世界初の4灯式プロジェクターヘッドライトをオプション設定し、デジタルを加えたハイブリッドメーターやフロントウィンドウディスプレイも選ぶことができた。
また、4輪操舵となるHICAS-IIもオプション設定していた。
が、ボディパーツだけでなく機能部品もないから、ユーザーは困っていた。レストアできれば、喜ぶ人は多いだろう。FRスポーツが不毛の時代の今、この名車をレストアする価値はあると思う。
■スバル スバル360(国沢 光宏)
こらもうテリー伊藤さんも買ったし、私だって持っているスバル360においてほかにないでしょう! 生産中止から50年経っているけれど、生き残っている台数多い。驚くべきことなのだけれど、いまだに部品も見つかる。
ただ最近欠品パーツ出てきた。加えて未使用部品あっても、品質に問題あったり、経年変化していたりと厳しくなりつつあります。“末端流通価格”だって上がってくるし。
このあたりでスバルがレストア&スープラのごとく部品の再生産を始めてほしいと強く願う。今の技術と素材で部品作りをすれば、当時の品質よりよくなることは間違いない。
特にサスペンションや駆動系パーツ、ミッション、エンジン関連部品についちゃ現在の末端流通価格より安価で高品質になると思う。外板や外装部品なんか東南アジアに依頼したらよい。
また、分離給油システムも50cc原付スクーターだって壊れることなどない。けれどスバル360の分離給油システムって、壊れることを前提にしなければならい。
結果、安全率を考えた混合ガソリン作らねばならず、大量の排気煙を出してしまう。スバル360は素晴らしい「使える文明遺産」である。61年前にこんなクルマを作った先達は凄いと思う。
■ホンダ 初代シビックタイプR(渡辺陽一郎)
レストアをビジネスとして成立させるには3つの条件がある。
まずコストを費やしてもレストアを施したくなる人気車であること。レストア後には、中古車市場において高値で流通できることも必要だ。なおかつ相応の台数が保有されていることも条件になる。
そうなると年式は1980年以降だ。それ以前の車種は、腐食などに対する耐久性も低く、保有台数も減少する。
人気が高いのはスポーツモデルで、1車種を挙げるなら、1997年に発売されたEK9型初代シビックタイプRだろう。
最高出力185psを8200回転で発生させた1.6LのVTECエンジンは高額なコストを費やしても蘇らせる価値がある。
また、発売から20年以上を経過すると、細かな消耗品や内外装のパーツが入手困難になる。
知り合いのレストアショップのオーナーは「本田宗一郎さんがご存命だった頃は、古いパーツでも手に入ったのに、亡くなられてからは供給体制が一気に悪化した」と言っていた。
パーツの復刻も、正式なレストアサービスを開始すれば可能になるはず。初代シビックタイプRの価格は199万8000円だったから、レストアしても極端な高価格車にはならない。
ユーザーと、レストアサービスを行う双方にとって、最良の車種になるだろう。
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