新型ヤリス驚愕の燃費性能 狙うは「EV超え」? トヨタのHV戦略 狙いと行方

トヨタのPHV戦略の凄さ

プリウスPHVは現行で2代目となる。価格は334万6200~434万5000円で、256万5200~334万5100円のプリウスよりかなり高額ゆえ販売面で伸び悩んでいる

 次はトヨタのPHV(本項ではトヨタはPHV、一般呼称はPHEVを使用)戦略について見ていこう。

 トヨタは先代プリウスでPHVを登場させ、現行プリウスにもPHVをラインナップしている。

 そして、北米ではすでに販売されているRAV4 PHVを日本でも販売することをすでに公表していて、6~8月になるのが有力視されている(新型コロナの影響で若干遅れるかも)。

 PHEVは日本メーカーでは三菱がアウトランダーで2モーター+S-AWCという形で独自路線を言っている。いっぽう欧州メーカーは、EUの環境規制当局によるインセンティブがあるため、PHEVのラインナップに精力的だ。

部ラグインハイブリッドの分野に関して日本メーカーでは三菱がアウトランダーに搭載し、独自路線で評価を高めている
欧州メーカーはプラグインがCO2規制において優遇されるため車種ラインナップを増強中。写真は2019年12月から日本で販売を開始したBMW X5 xDrive45e

 では、トヨタは今後どのようなかたちでPHV戦略を推進するのか?

 どのような車種に展開してくるのは現時点では判明していないが、トヨタは、PHVをプレミアムハイブリッドのような位置づけに考えているようだ。

 RAV4 PHVのシステム出力は306ps(RAV4ハイブリッドは222ps)で、加速性能は時速0-60マイル(0-96km/h)加速において5.85秒(同7.8秒)と省燃費でありながらパワフルな走行を実現している。

 PHVはバッテリー容量も大きくなるためそのぶん価格が上昇する。トヨタは高いお金を払ってもらう対価として、パフォーマンスを付加すると割り切っている。これもベースの燃費性能が高いレベルにあるからできることだと思う。

RAV4 PHVはバッテリーの大型化などによる価格の上昇は避けられないが、その価格に見合うだけのパフォーマンスを付加するプレミアムモデルとして位置づけ

 マツダの新世代パワーユニットのスカイアクティブX(マイルドハイブリッド)が販売面で苦戦していると聞く。ノーマルのガソリン車との価格差68万円で、その価格差が問題なのではなく価格差に見合った感激がユーザーに与えられていないのだろう。

 スカイアクティブXがユーザーのためではなく、マツダの自己満足技術になっていると言われても仕方がない。

新型ヤリスハイブリッドはエンジンも凄い

 欧州を中心に電動化へのかじ取りが積極的に展開され、このご時世で内燃機関に投資するのは愚策である、と酷評する経済評論家などもいた。そんななか、トヨタは一連のダイナミックフォースエンジンを新開発してきた。

 このダイナミックフォースエンジンはパフォーマンスに優れているのに燃費がいい。実際に新型ヤリスはノーマルの直3の1.5Lエンジンもすばらしく、THS-IIの燃費性能の向上に大きく貢献している。

ヤリスハイブリッドは驚異的な実燃費をマークしたが、新開発の1.5L、直3のダイナミックフォースエンジンの出来のよさは特筆レベル

「これ一発で逆転ホームランはない。ちまちま送りバントをしながらの積み重ね」

 THS-IIがいまだに優位に立っているのもこの姿勢があるからこそだと思う。

 いっぽう、日産のシリーズハイブリッドのe-POWERはシリーズ・パラレル方式のTHS-IIよりも理論的には高効率と言われているなか、5月発売開始が濃厚なキックスではe-POWERの効率を上げてくるというから楽しみだ。

日産は東京モーターショー2019を前にe-POWERの今後の可能性として効率アップを挙げていたが、新型SUVのキックスで効率をアップさせた改良版を登場させる

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