ユーザーのすそ野を広げることに成功
メルセデスベンツと言えば、世界の高級車メーカーとして認知されている。日本でメルセデスが昔から憧れの対象となってきたのも高級車メーカーとしてのブランドイメージを確立しているからだ。
そのメルセデスベンツにとって大きな転機となったモデルとして1982年に本国デビュー(日本導入は1985年)したW201を挙げないわけにはいかない。W201は190シリーズのことで、日本では『小ベンツ』などとも呼ばれたモデルだ。
日本での販売も好調で、高額の高級車しかなかったメルセデスを頑張れば手が届く高級車として大きく認知させた功績は大きい。これは日本だけでなく世界的に見ても大貢献。
この190シリーズが1993年デビューのCクラスとなり現在に至るまで、メルセデスベンツの主力モデルとなっている。
ユーザーのすそ野を広げたという点では、3代目Aクラス、初代CLAの果たした役割は大きい。
Aクラスは初代、2代目とも苦戦を強いられてきた。初代のエルクテストの影響で発売が延期になったことも大きいが、何よりもユーザーがAクラスにメルセデスベンツとしての魅力を感じなかったのが要因と思われる。
3代目Aクラスについては、初代、2代目のハイトワゴンというコンセプトと決別し、Cセグメントのハッチバックとして生まれ変わった。これが奏功して、メルセデスの販売面を大きく底上げしたことは言うまでもない。
いっぽうCLAは小さな高級車ということがウケて、セダンに加え派生モデルを続々と登場させてメルセデスベンツの新たな世界を構築した。
高級車メーカーとしてイメージが定着しているメルセデスだが、失敗もあったが、ブランドイメージをキープしたまま、下へのラインナップ拡張することができたのが大きい。
絶大なる信頼感
メルセデスベンツが日本でも強い理由に、ベンツ=ハイクォリティ、ベンツ=安全というイメージが定着している点も見逃せない。ハイクォリティなクルマ、安全なクルマはいっぱいあるが、メルセデスベンツ推しの人は多い。
盤石に見えるメルセデスベンツにもピンチはあった。
2代目Eクラスはクォリティが著しく低下し、メルセデスらしくないと指摘されたモデルだ。当時はアウディがハイクォリティを追求していたこともあり、メルセデスのブランドイメージを大きく傷つけてしまった。
1998年から日本で販売を開始したMクラスはメルセデスベンツが初めてドイツ以外で生産したモデル(アメリカで生産)として話題になったが、こちらもクォリティ面で大きな問題を抱えていた。
メルセデスベンツは、1つのモデルをじっくりと改良して熟成させる手法を常套手段としていたが、フルモデルチェンジ並みに改良したマイナーチェンジモデルを投入するようになったことで、魅力が長続きするようになった。
現行Cクラスは2018年に6500箇所にも及ぶ大幅改良を受けたし、Eクラスも大幅改良モデルがすでに発表されているので、日本にも近いうちに導入されるだろう。
この大幅改良による熟成という点では、最大のライバルであるBMWはもちろんVW、アウディをも凌駕している。
当然現代のクルマとしては必須の最新安全装備も頻繁に改良&アップデートされているので、ユーザーのメルセデスベンツに対する信頼感は絶大なのだ。
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