新車で購入する際には、オプション設定されている有償色のボディカラーはあるものの、基本的には車両本体価格に含まれていて差はない。しかし、下取りや買取などではボディカラーによって査定額が異なってくる。これは中古車特有の「人気」という要素が価格に大きな影響を与えるからだ。
これに関して、現在でも強いインパクトのある話を覚えている。当時2000年に登場した3代目セルシオの査定価格を買取店に行って調べていた時のこと。
白(パール)、黒が人気というごく当たり前の話のあとに、「このセルシオにはローズマイカメタリックという薄いピンク色のボディカラーがあるのですが、この色だったら、白(パール)より査定価格が100万円は安くなりますね」という話をされたのだ。
たかがボディカラー、されどボディカラーだということを再認識させられた瞬間である。新車を購入する際には、同じ料金でもこのような人気のない色を選ぶと査定価格がとんでもなく安くなってしまうのだ。
これはちょっと大げさな例だが、ボディカラーによって買い取りや下取り査定時に差が出るのは事実である。
そこで、今回は、現在でも人気色と不人気色では査定額に差が出るのかをはじめ、軽自動車でのツートンカラーはどうなのか。さらに装備によっても差が出るのかを買取を行っている販売店に取材して調査した。
文/萩原文博
写真/TOYOTA、DAIHATSU
【画像ギャラリー】下取り価格はさておき! 鮮やかなボディカラーを採用している現行型の人気車を紹介!
■イメージカラーでもマイナス査定あり! 最新車体色事情
取材をしたところ、結論としては人気色の傾向は変わっていなかった。現在でもシルバーが基準となり、白(パール)、黒が人気色で査定時にはプラスとなる。
この傾向は人気モデルになるほど顕著で、トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」「ランドクルーザー200」などは白(パール)、黒以外購入するユーザーはまれとまでと話してくれた。そのいっぽうで、赤や黄色、青といった原色系といわれるボディカラーはイメージカラーだとしても査定ではマイナスになりやすい。
ただし例外もあり、スズキ「スイフトスポーツ」のチャンピオンイエロー4やスバルのWRブルーといった原色系のボディカラーはプラス査定となるのだ。
最近では、軽自動車を中心にパステル調のボディカラーやルーフとボディを塗り分ける2トーンルーフ仕様が多くの車種に設定されている。そういったボディカラーや2トーンルーフ仕様の査定は上がるのかそれとも下がるのかを聞いてみた。
すると、影響があるのはダイハツ「ムーヴキャンバス」ぐらいで、パステルカラーの2トーン仕様でないと査定が下がってしまうのだ。それ以外のクルマでは、パステルカラーだから査定が安くなることや、2トーンカラー仕様だから査定が上がるということはあまりないというのが現状だ。
■海外輸出を視野に入れた査定が新たなポイントとなる
ボディカラーに続いて、査定に関する装備についても聞いてみた。以前は中古車というと国内販売が中心だったが、現在では国産車の中古車は海外へ多く輸出されている。したがって海外で好まれる装備が付いているかどうかというのが、実は査定に影響してくるという。
例えば、アルファード/ヴェルファイアではインナーミラー。そしてランドクルーザーではセンターコンソールに設置されるクールボックスや寒冷地仕様。また以前三種の神器とよばれた本革シート、サンルーフ、ナビゲーションは必須のアイテムとなっている。そして変わったところでは、スペアタイヤが装着されていることも海外では好まれるという。やはり、道路事情が脆弱なためパンクが多いということなのだろう。
そして、多くの国産車が輸出されている海外の国のひとつにスリランカがあり、税制上エンジンの排気量が1Lまでならば税金が安くなるのだ。その影響もあって、ヤリスも1Lエンジンを搭載したグレードが大人気となっていて、同じ理由でライズも人気となっているそうだ。
高いリセールバリューを求めるのであれば、ボディカラーだけでなく、海外の税制などにも調べてからクルマを購入したほうがいいかもしれない。
※編集部注:たしかにこのご時世、下取り価格のマイナス査定は大きな問題で、地味めな黒、白、グレーと、派手めな赤、黄、青とでは、車種や年式によっては買い取り価格は数十万円変わってくることもある。
とはいえ、これから十数年、自分と家族の命を載せ苦楽を共にする愛車を数百万円かけて選ぼうという時に、「売る時に安くなっちゃうからな…」と考えて、好みでないボディカラーを選択するというのも、あまりに世知辛い話ではある。
個人的には「好きな色、気に入った色を選ぼう! どうせ売る時には流行り廃りは変わってるかもしれないし!!」と背中を押したい気分ではあります。はい。
コメント
コメントの使い方