「最強FF」の実力も空振り!?
次に挙げるべきは、2001年登場のホンダ2代目インテグラ・タイプRだ。このモデルは、技術的完成度という観点では極めて高いレベルにあった。2リッター化されたエンジン、剛性の高いシャシー、ブレンボ製ブレーキの採用など、走りのための要素が徹底的に磨き込まれていた。
さらに特筆すべきは、スーパー耐久十勝24時間レースでのパフォーマンスである。デビュー戦にして総合上位に食い込む結果は、単なるプロモーションを超えた実力の証明だった。普通に考えれば、この成功体験はそのまま販売に結びつくはずだが、現実ではそうならなかった。
背景にあるのは、市場の変化である。当時すでに、2ドアクーペというカテゴリー自体が縮小しつつあった。加えてFFレイアウトのスポーツモデルは、本格派ではないという先入観を持たれやすい時代でもあった。
つまり、どれだけ完成度が高くとも、市場の文脈と合致しなければ売れないのである。2代目インテグラ・タイプRが売れないなら、それは国内には2ドアスポーツクーペのマーケットは無いに等しいとさえ思わされたのだった。
【画像ギャラリー】でっかく開く観音開きが最高だな!! 高い完成度でも売れなったクルマ3選(14枚)画像ギャラリー先進すぎた軽自動車……三菱iが市場で苦戦した理由
さらに興味深い例として、三菱のiがある。リアエンジン、リアドライブという軽自動車としては異例のレイアウトで、未来的なデザインで、高い衝突安全性を備えていた。技術的には極めて意欲的なモデルであり、試乗評価も高かった。
特に4WDモデルの走行性能は印象的で、トラクション性能と安定性の両立は、同社の四輪駆動技術の蓄積を感じさせるものだった。しかし、このモデルもまた長期的な成功には至らなかった。
理由のひとつはパッケージング上の制約である。リアにエンジンを搭載したことで荷室は制限され、実用性という点でユーザーの要求を完全には満たせなかった。そしてもうひとつは、メーカーを取り巻く外的要因である。
ブランドに対する信頼の揺らぎは、いかに優れた製品であっても販売に影響を及ぼす。これらの事例に共通しているのは、技術的には正しいが、市場的には最適ではなかった点である。クルマは工業製品であると同時に商品でもある。
設計思想、性能、デザイン、そして市場環境。そのすべてが噛み合ったときに初めて売れるクルマが成立する。言い換えれば、売れなかったクルマとは、どこか一つが欠けていたのではなく、全体のバランスが市場と同期しなかった存在と言えるのである。
しかし、それらは決して失敗作ではない。むしろ時代を先取りしすぎたがゆえに理解されなかった、ある種の先行試作のような存在だったとも言える。
RX-8のロータリー、インテグラ・タイプRの純度の高いFFスポーツ、三菱iの革新的パッケージ。それぞれが示した方向性は、形を変えながら現代のクルマへと受け継がれている。
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コメント
コメントの使い方RX-8は燃費悪さ以上に、REの気難しさや掛かる金手間を克服できていなかったのが大きいです。
4人乗れてNAで一般人でも持てますよ、というスタンスなのに、REは季節ごとに掛かりにくい理由が変化し、走り出す前の儀式も面倒極まりない。
しかも当たり外れも大きく定期的なOHなど、全てをオーナー側に丸投げでした。実車を知ってれば、親しい人には勧められない(だから関係ない他人へは隠して絶賛する)車でしたよ。