レヴォーグはなぜ苛烈なジャンル生存競争の中、生き残れたのか?

ステーションワゴンの教祖!レガシィはサイズアップの道を選んだ

初代レガシィツーリングワゴン

 ステーションワゴンは、同じくスバルの「レガシィツーリングワゴン」なくしては語れない。90年代のステーションワゴンブームは、初代レガシィツーリングワゴンの登場によって火が付けられた。

 全長4600mm、全幅1690mm、全高1470mmという、取り回ししやすい適切なボディサイズで登場した初代レガシィであったが、日本のステーションワゴンブームが下火となったことで、4代目以降は海外市場、特に北米の顧客からの要望を取り入れ、どんどんボディを肥大化させていった。

5代目レガシィツーリングワゴン(日本最終モデル)

 そして、日本国内ではツーリングワゴンが廃止となった6代目では、全幅は遂に1840mmにまで広がり、全長も4800mmと、ミディアムクラスの上限にまで拡大された。走行性能の高さ、安全性能の高さに加えて、居住性も大幅に向上させたレガシィは、こうしてグローバルで成功した。

レヴォーグはなぜ生き残れたのか?

レヴォーグ(2014年)
レヴォーグ(2014年)

 レガシィのツーリングワゴンが廃止となった2014年に、レヴォーグはデビューしている。

 レガシィは、海外でヒットしたため、サイズアップを受け入れていったが、一方でスバルは、往年の日本のスバルファンの期待に応えるため、レヴォーグを昔のレガシィツーリングワゴンに近いサイズで世に送り出した。

 そしてそれは、吉とでた。現行レヴォーグは登場から7年目に突入しているが、昨今のSUVブームをよそに、いまだに売れ続けている。

表1.スバルレヴォーグの年間販売台数一覧
表1.スバルレヴォーグの年間販売台数一覧

 さらに、レヴォーグが日本専売である、というところにも、レヴォーグがここまで生き残ってきた理由がある。自動車メーカーが新型車を開発する場合、そのクルマが最も売れるマーケットに合わせ、クルマを作りこむ。

 具体的には、パッケージング検討に用いる人体モデルの腕の長さ、足の長さ、座高などの体格データを、その国(地方)に合わせる、といった感じだ。

 例えば、北米市場メインのクルマだと「AM50」という基準に合わせる。成人アメリカ人(A)の男性(M)の、身長、体重などの分布の中央値(50パーセント)がもつ体型に合わせて設計しています、ということだ。

 もちろん、これはシート設計に限った話ではなく、例えば日本で売るクルマの場合、アクセルレスポンスやブレーキを、信号機の多い日本の道路環境に合わせていたり、サスペンション特性も、メンテナンスが行き届いた、日本のきれいな舗装路に合わせた設定にされていたりもする。

 軽自動車やミニバンが、どこか馴染むのは、まさに日本向けに作りこまれているからなのだ。

東京モーターショー2019で次期型レヴォーグプロトタイプが発表された。次期型はどんなモデルになるのだろうか?
東京モーターショー2019で次期型レヴォーグプロトタイプが発表された。次期型はどんなモデルになるのだろうか?

 レヴォーグはクルマとしての出来が素晴らしいだけではなく、何より、日本のエンジニアが、日本人のために考え、日本人にとって馴染むように作られている、というところにも魅力があり、レヴォーグは、日本専売だからこそ、生き残ってきたのだ。

まとめ

 国内専売といえば、この6月に登場するハリアーも当てはまる。大きなボディに見せながらも、車幅1850mmに抑え、日本の道路事情に合わせて作りこまれており、デビューが待ち遠しい一台だ。

 一昔前だと、「海外で売れています!」というのも、売り文句になっていた時代があったが、輸入車の垣根も下がった昨今、むしろ国内専売で作られた車にこそ、魅力がある。クルマにも地産地消の思考が必要なのかも知れない。

【画像ギャラリー】超名門レガシィからレヴォーグへ… 華麗な継投の系譜

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